毎日くだもの200グラムメールマガジン □■ くだもの&健康ニュース Vol.260 ■◇ 2022年11月25日(金)配信 こんにちは! 今号では、予防医学の最先端分野である「料理医学」について紹介 しています。文献紹介をご一読ください。 ────────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ- >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:パイナップル ・ 第61回農林水産祭「実りのフェスティバル」に出展しました ・ 文献紹介:医師の臨床栄養の知識改善のための料理医学プログラム ・ 文学の中の果物:霧を捕える話(中谷宇吉郎) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   山寺や無縁の墓に散る紅葉     - 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:パイナップル ○ パイナップルとシーフードの南国カレー  日本ではお肉のカレーが定番ですが、マレーシアではシーフード カレーも人気です。 材料(3~4人分)  パイナップル 300g、ココナッツミルク 140ml、サバの切り身 4 切れ分、レッドカレーペースト 1瓶(100g)、しょうゆ 、砂糖、 レモン汁(ポッカレモン)、コショウ 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/6777320 ○ 鶏むね肉と生パイナップルの醤油煮  パイナップルの酵素で鶏むね肉もとても柔らか!和食に近い味付 けのフィリピンの肉の酢醤油煮アドボを参考にしてみました。 材料(2~3人分)  生パイナップル(1cmくらいの粗みじん切り) カップ1/2杯、鶏 むね肉(観音開きにし、ひとくち大の削ぎ切りにする) 1枚(400g 程度)、ニンニクみじん切り 1片分、玉ねぎみじん切り 1/4個分、 醤油、みりん、コショウ、サラダ油、酢 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/6750346 ────────────────────────────── ■ 第61回農林水産祭「実りのフェスティバル」に出展しました  11月11日(金)、11月12日(土)の2日間にわたって、東京 都豊島区の池袋サンシャインシティにおいて第61回農林水産祭 「実りのフェスティバル」が開催され、中央果実協会もブース出展 をしました。  実りのフェスティバルは、新型コロナ感染症の影響で2年続けて 中止されたため、3年ぶりの開催となりました。  会場には、農林水産祭の天皇杯受賞者の紹介コーナーをはじめ、 農林水産省、都道府県、JA、各種団体などたくさんのブースが並 び、天候に恵まれたことあって多くの家族連れの方などに来ていた だきました。  当協会のブースでは、「毎日くだもの200グラム運動」の理解 増進のため、パネルの展示、クイズのほか、手のひらを測定器に3 0秒当てて皮膚のカロテノイド量を測定し、野菜の摂取量を推定す る「ベジチェック」の体験コーナーを設置して楽しんでいただきま した。クイズにお答えいただいた方やベジチェックの測定をしてい ただいた方々には「毎日くだもの200グラム」推進の缶バッジを プレゼントし、特にお子さんたちに大好評でした。  また、各県のブースでは、様々な特産品をはじめ、秋の代表的な 味覚の柿やりんごやみかんなどが山盛りされ、多くの方が試食、試 飲をしたり、お気に入りの特産品などを買い求めて大盛況でした。 ────────────────────────────── ■ 文献紹介:医師の臨床栄養の知識改善のための料理医学プログラム  生活習慣病の予防には、果物などが豊富な植物ベースの食事が有 効なことが明らかとなりました。一方、不適切な食事は、肥満、心 血管疾患、2型糖尿病の罹患率を高める原因であることも確認され ました。食事はアメリカにおける早期死亡の最大のリスク要因です。  しかし、こうした研究成果についての医師らの知識は十分ではな いため、臨床栄養教育のニーズが高まっていました。  そこで、先駆的な生物医学研究や卓越した臨床ケアおよび教育で 有名なアメリカ、テキサス大学サウスウェスタン・メディカル・セ ンターの料理医学チームは、医学生、レジデント、フェロー、その 他の医療専門家を対象に、肥満や心血管疾患などの食事関連の健康 問題解決のための栄養教育を行っています。医学雑誌「アカデミッ ク医学」では、こうした活動経過と評価について紹介しています (文献1)。  この料理医学プログラムは、教育用キッチンを利用して、エビデ ンスに基づいた栄養価が高くてアクセスしやすく、手頃な価格でお いしい食事を患者に提供するための実用的なスキルを医療専門家に 紹介しています。  このプログラムは学生の健康と栄養に関する知識に良い影響を与 えましたが、十分な資金と教員のサポートに苦労していることが分 かりました。  本報告は、アメリカにおける医学部の料理医学プログラムについ て評価した最初のレビューで、料理医学の立ち上げ、参照した文献、 資金提供、評価戦略などの情報を必要としている多くの医学部にと って極めて有益な資料です。  テキサス大学は、この分野の先駆者で、2015年にプログラムを開 始して以来、料理医学チームは、キッチンで教える専門職を育成し てきました。最近では、料理医学チームが他の医療関係者の相談に 応じる臨床サービスも立ち上げました。また、次世代の医療専門家 を育成するため、医学生、大学院生、レジデント、フェローを教育 しています。  今後、食物アレルギーや食物不耐症、特別な食事や栄養の必要性、 過敏性腸症候群などの病気に直面する患者が増えるにつれて、さら に本プログラムの重要性が増すと考えられています。  また、「アメリカ・ライフスタイル医学雑誌」(文献2)では、 臨床医、患者、家族で役立つ、食品、食事、飲み物の選択のための 実用的な方法や、家庭菜園、スーパーマーケット、ファーマーズ マーケットで、最高の状態で果物や野菜を選ぶための「シェフの秘 密」を紹介しています。  具体的な例を挙げると、アボカドと葉物野菜を組み合わせると、 アボカドがない場合よりもルテイン吸収が7倍も高くなること、リ コピンの吸収量を増やすにはオリーブオイルとトマトの組み合わせ が良いこと、スイカは冷蔵庫に保管するよりもキッチンカウンター に置いたままにした方がリコピンは40%、β- カロテンは139%も多 くなること、果物などに含まれている食物繊維は満腹感と満足感を 与えてくれることなどを紹介しています。  ガーデニングが医学雑誌で取り上げられることはめったにありま せんが、料理と同様に、健康に及ぼすプラスの効果のエビデンスに ついても解説しています。同時に、質の高いガーデニングや農業は、 質の高い果物や野菜を生産していることを、優れた料理人はよく知 っていることも紹介しています。  料理医学は、食材と料理の技と医学の科学を融合させた、エビデ ンスに基づいた新しい医学分野で、その目的は、患者が食べ物や飲 み物を使って、安全に、効果的に、そして幸せに自分自身をケアで きるようにすることです。 【文献】 1) Newman, C. et al.: Culinary Medicine as Innovative Nutrition Education for Medical Students: A Scoping Review. Acad. Med., Online 2022 Aug 2. (2022) [doi: 10.1097/ACM.0000000000004895] 2) La Puma, J.: Culinary Medicine and Nature: Foods That Work Together. Am. J. Lifestyle Med. 14: 143-146. (2020) [doi: 10.1177/1559827619895149] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:霧を捕える話(中谷宇吉郎)  ハワイに現在三つの産業がある。甘蔗と、パイナップルと、観光 事業とである。  ところで、近年のハワイの発展ぶりは、大いに目覚ましいが、す ぐ困って来るのは、土地の問題である。何といっても、小さい島の ことであるから、農地が住宅地に食われると、新しい農地を探さね ばならないが、可耕農地はほとんど使いつくされている。其処で目 をつけたのは火口内の台地である。  ハワイ群島は火山で出来たもので、どの島にも、大きい火山があ る。そのうち二つを除いては、とっくに死火山になっているので、 其処には、非常に広い火口が残されている。この台地をパイナップ ル畑として開墾することは、大分前から着手され、現在では、もう ほとんど完了している。  地味はよいらしいのであるが、一つ困ることは、水が足りない点 である。周囲は外輪山でかこまれているので、川はこの台地へは流 れ込まない。結局外輪山でかこまれた区域内に降る雨だけが、水資 源である。ところが厄介なことには、風は外輪山の上をいわば素通 りするので、すぐ近くの山腹にはうんと雨の降るところがあるのに、 この火口内には、あまり雨が降らない。それで水には非常に困って いる。もう少し水が得られたら、パイナップルの収穫は、飛躍的に 増すはずなのである。  それでホノルルのパイナップル研究所には、地形による降雨量の 変化を研究している気象学者がいる。大きい立木の下に、沢山の雨 量計を置いて、雨量に差があるか否かを調べてみた。ところが驚い たことには、立木の下では、いつでも数倍、時には十倍以上の雨量 があったそうである。すぐ近くの、木の影響のない所に置いた雨量 計と比較しての話である。  理由はきわめて簡単で、雨雲の粒、即ち霧が、木の葉にくっつい て、雫(しずく)となって落ちて来るからである。それでこの研究 者は、網か糸かを使って、霧粒を捕えて、雫として採る方法を、い ろいろ工夫していた。設備の費用と、耐久力と、霧の捕捉量と、そ の水による増収量とを計算すれば、経済的に成り立つか否かが決定 されるわけである。  ところが面白いことには、北大の低温研究所でも、数年前に、た しか三年か続けて、北海道東部の海霧の研究をしたことがある。結 果は時の所長堀教授の手で、英文の「霧の研究」という大部な報告 として発表されている。  これは霧粒を防霧林で捕えて、内陸にはいるのを防ぐのが目的で あった。霧粒を立木で捕える点では、ハワイの研究と全く同じこと で、研究方法も非常に似ている。霧が欲しい場合と、霧を防ぎたい 場合と、全く反対の場合に、同じ研究が役立つところが一寸面白い。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、金沢市中央卸売市場に入荷している果物を紹介します。 入荷量が多いのは、ミカン、リンゴ、カキ、バナナなどです。 [旬の果物と産地] ウンシュウミカンは福岡、和歌山、愛媛産です。 バレンシアオレンジ、レモン、グレープフルーツはアメリカ産です。 リンゴ(ふじ、など)は青森、山形産です。 カキ(刀根早生、など)は和歌山産です。 メロン(アールス、など)は静岡産です。 バナナ、パイナップルはフィリピン産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  機能性成分サプリメントの摂取よりも食事内容が大切なことが医 学的に確定したことから新しい「料理医学」が生まれました。今後 さらに、生で食べる果物の重要性が明らかになると考えています。(tnk)  コロナの第8波が始まったようです。「またか」という感じです が、油断せず、手洗い、マスク、換気など基本的な感染対策を心が けて過ごしましょう。(EK) ──────────────。─────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2022.  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