毎日くだもの200グラムメールマガジン □■ くだもの&健康ニュース Vol.220 ■◇ 2021年1月29日(金)配信 こんにちは! 新型コロナウイルスは果物の中では生きられません。なぜ? 今号では、食品の安全性と感染症についての研究を紹介します。 ────────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ- >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:バナナ ・ くだもの広場:果物の糖分について ・ 文献紹介:新型コロナ感染症と食品の安全性 ・ 文学の中の果物:栄養学小史(ケニス・J・カーペンター、水           上茂樹訳) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   一枝やたましひかへす梅の花     - 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:バナナ ○ 崩れない!レストラン!バナナハンバーグ!  ジャンボに成形しても崩れないハンバーグです。私はクレイジー ソルト、胡椒多めでレストラン風の味になった気がします。 材料(作り置きするので15個位作りました)  バナナ 一本、卵 2個、挽肉 牛豚合挽き 約1キロ、ミックスベジ タブル 150グラム程、ソース こんぶ茶 クレイジーソルト こしょ う 適量 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/3993730 ○ フルーツ どら焼 いちご バナナ キウイフルーツ  どら焼のかわにあんこと好きな果物を挟んで作りました。 材料  果物(イチゴ、バナナ、パイナップル、キウイフルーツ) 各適量、 あんこ 適量、どら焼のかわ 1パック(4個) 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/6095724 ────────────────────────────── ■ くだもの広場:果物の糖分について おじさん:今回は、果物の甘さ、糖分について紹介しよう。 ミカ:果物を食べる理由として一番多いのは「おいしく好きだか   ら」で、なんと言っても甘い果物が人気ということだと思うわ。  でも、甘いということは、糖分がたくさん入っているということ  だから、たくさん食べれば太ってしまうんじゃない。 おじさん:最近は、スーパーなどの果物売り場で、「甘くておいし  い」と糖度が書いてある紙があるね。果物は甘く、「甘い=糖分  が多く高エネルギー」といったイメージがあるため、いまだに、  果物は太ると思っている人がいるが、これは大きな誤解だ。果物  は果糖として糖質を含んでおり、果物を食べれば摂取エネルギー  は増えることになるので、肥満と関連する可能性も考えられるん  だが、摂取エネルギーという点では、デンプンも砂糖も同じ炭水  化物(※)であり、同じ量であればエネルギーに大きな差はないん  だ。だから、食事全体の総エネルギー摂取量に変化がなければ、  果物の摂取量を増やしても肥満につながることはない。   近年、みかんやりんごは技術革新により甘さの指標である糖度  が高くなっている。糖度が1度上がるとかなり甘くなったと感じ  るが、1度の糖度上昇にともなうエネルギー増加量は100gあたり  わずかに4kcal程度だ。(※)   果物と菓子類のエネルギー量を比較してみると、例えば、もも、  なし、みかんは、100g当たり40kcal~45kcal程度に対して、アイ  スクリーム180kcal、ショートケーキ327kcal、チョコレート557kcalと4倍から  10倍と大きな差がある。   (※)果糖、ブドウ糖は単糖類と言われる糖類。砂糖(ショ糖)は  二糖類と言われる糖類で果糖とブドウ糖がつながったもの。デン  プンは多糖類と言われる糖類でブドウ糖がたくさんつながったも  の。いずれも、炭水化物であり1gで4kcalのエネルギーである。   果糖は肝臓に取り込まれた後、ブドウ糖に変化するルートと、  脂肪酸やトリグリセリドへと変化するルートの二つに分かれる。  総エネルギー摂取量が増加しないように果糖を摂取した場合には、  体重増との関連性はなく脂質値にも影響しないとされている。世  界保健機関(WHO)では、砂糖類の摂取量を摂取エネルギーの10%  以下にすることを勧告しているが、対象になるのは、加工品や調  理などで添加された糖類で、果物や野菜から摂取する分は含まれ  ていない。   糖尿病の人の果物摂取についても少し紹介しておこう。糖尿病  の人は血糖値の管理が大変重要だ。炭水化物は食後の血糖値を上  昇させることから、適切な量を摂取する必要がある。果物の多く  はグリセミックインデックス(GI、ブドウ糖を100とした時の血  糖値の上昇の程度を示す指標)が低く、食後血糖値を上げにくい  食品に分類されている。食事全体の中で果物の摂取量を判断する  必要があるが、糖尿病患者にも毎日1単位(80kcal分、みかんな  ら2個程度)程度の果物の摂取が勧められている。但し、これは、  あくまで一般的な話しであり、個別の病態により判断する必要が  あるので、果物摂取量については主治医とよく相談して決めて欲  しい。   (糖尿病と果物摂取についての詳細は「FACT BOOK」  (6訂版)を参照下さい。) ミカ:果物は甘いから太ると思っていたけど、100g当たりのエネル  ギー量で比較すると、果物は、すごくエネルギー量が少ないのね。  果物はとっても甘いのでエネルギーが多くて太るように思うけど、  果物は水分がすごくたくさんあるから、同じ100gだとエネルギー  量は、とっても少ないということね。これなら、安心して、たく  さん食べられるわ。 おじさん:そのとおり。エネルギー量を考えてみれば果物を食べて  太ることは、まずないと思っていい。それより、一日に200グラ  ムを食べることを心がけて欲しい。それじゃ、次回は、果物の機  能性成分について紹介することにしよう。 ────────────────────────────── ■ 文献紹介:新型コロナ感染症と食品の安全性  2019年に発生した呼吸器系の新型コロナウイルス(COVID-19)は、 世界経済と人の健康に大きな影響を及ぼしています。最も経済的に 被害が大きかった分野の一つに食品サプライチェーンのマーケティ ングの問題があります。  新型コロナの主な感染経路は呼吸に関連した飛沫であり、現在、 果物など食品と水は、新型コロナ感染症の優先感染経路とは見なさ れていませんが、周囲の環境が非衛生的である場合、ウイルスが数 日間持続する可能性のある汚染された食品や環境表面を介した感染 は無視できないかもしれません。  そこで、韓国、高度食品安全研究チームは、新型コロナ感染症の 食品供給システムと食品安全への影響を調査し、「食品科学技術の 潮流」に発表しました。  本研究は、安全の観点から、食品や保存・輸送材の表面を介した 感染の潜在的なリスクなどを評価することが目的です。また、この 研究は、将来の感染症に対する効果的な食品安全管理にも役立つこ とが期待されています。 ・新型コロナ感染症が食品供給システムに与える影響  食品の安全とは、食卓の皿の上の食品が安全であるだけでなく、 輸送中のどの段階でも消費者の健康にリスクをもたらさないことを 保証することが最も重要です。  新型コロナウイルスの生存期間を調べた研究から、プラスチック、 木材、ゴム、ステンレス鋼などの食品と接触する表面に数時間から 数日間生き残ることが分かってきました。このことから、食品が非 衛生的な条件にさらされた場合、ウイルス感染の媒体になる可能性 が示唆されました。また、高い温度(30℃または40℃)では、無生 物表面でウイルスの生存期間は短縮されましたが、4℃では最大9日 間生存することが分かりました。従って、非衛生的な食品の保存・ 輸送材などが潜在的な感染経路になる可能性があります。とは言え、 世界保健機関(WHO)とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、 食品と水を介した直接感染の証拠はないと宣言しています。 ・新型コロナの不活性化  消毒は新型ウイルスの不活性化に有効です。62~71%のエタノー ル、あるいは0.5%の過酸化水素、または0.1%の次亜塩素酸ナトリ ウムで1分以内に不活化されます。また、新型コロナは果物などの 食品中で増殖することはできません。なぜなら、動物や人など宿主 が必要なためです。ただし、肉、魚、エビ、卵などの生の食品を扱 う際のリスク管理は重要です。 ・免疫機能向上  過去20年間に発生した他のよく知られた流行に関連した研究から、 ビタミンが豊富な食品を摂取すると、免疫システムが改善され、ウ イルスの抑制に役立つことが明らかとなりました。  ビタミンCは、免疫システムを強化し、体組織の成長と修復に不 可欠であることが分かりました。また、ビタミンAやβ-カロテンな ど脂溶性成分は、免疫機能向上効果があり、感染症の感受性を下げ る働きが解明されました。さらに、ビタミンAやDはウイルスに対す る耐性を高めることが明らかとなっています。  本研究は、食品の安全と新型コロナ感染症における食品の安全に ついて調査した結果ですが、この結果は、今後予想されている新た な新型ウイルスに対する食品の安全性確保にも役立つ可能性がある と研究者は述べています。 【文献】 Han, S. et al.: COVID-19 pandemic crisis and food safety: Implications and inactivation strategies. Trends Food Sci. Technol., 109:25-36. (2021) [doi: 10.1016/j.tifs.2021.01.004] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:栄養学小史(ケニス・J・カーペンター、水           上茂樹訳)  興味あることに、マッカラムは、ニワトリに白米を与えて起きた 病気についてのエイクマンとフレインスの重要な研究、およびこれ が比較的に不安定な有機化合物の欠乏によるというフレインスの結 論についての何の引用文献も見つけていなかった(2)。  1909年に一人のスイスの眼科医はラットに純粋食を与えると眼の 障害が起きることを述べた別の研究を読んで、その実験を繰り返し て、人間の病気で見るようなタラ肝油で治癒できる眼乾燥症および 角膜軟化症を確認した(21,22)。 マッカラムの最初の実験  この頃、動物はリンを核酸の形で与えられることが必要であると 推測されていた。マッカラムはリン化合物を有意に含まない植物タ ンパク質を調製して、このことをテストした。彼は植物タンパク質 のエデスチン(麻の実タンパク質)とゼイン(トウモロコシタンパ ク質)の混合物を12-18%、バター脂肪5%、ミネラル8%、およびデ ンプンとショ糖に、少量のセルロース微粉末および水を加えて38度 で乾燥したものを、3匹のラットに与えた。ラットは最初の体重が 100-170gであったが、体重は減少し、1週後には食欲を失った。彼 は種々の香味料、たとえばバナナ、ベーコン、などなど。これらは 1、2日は食欲を刺激して、上記の餌の制限因子は味であると結論 した。しかし、リン出納試験の結果から、有機リンもプリンも無く てもラットは核酸を合成できる、と結論した(16)。コネチカット でオズボーンとメンデルは1911年にこの最後の点を確認した(23)。 彼らは他のタンパク質源が無い状態で種々の単離タンパク質の栄養 価を比較することに最初は興味を持っていた。しかし、そのために は若いラットに必要なものをすべて含む無タンパク質混合物を必要 とした。その結果、彼らは否応なしにビタミン研究の分野に入るこ とになった。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、松山市中央卸売市場に入荷している果物を紹介します。 入荷量が多いのは、ミカン、イヨカン、リンゴ、イチゴ、バナナ、 キウイフルーツなどです。 [旬の果物と産地] ウンシュウミカンは愛媛産です。 イヨカン、ポンカンは愛媛産です。 ネーブルオレンジは広島産です。 レモンはアメリカ産です。 リンゴ(ジョナゴールド、ふじ、王林)は青森産です。 イチゴ(紅ほっぺ、ゆうべに、あまおう)は愛媛、熊本、福岡、高 知産です。 キウイフルーツは愛媛産です。 メロン(アールス、など)は宮崎、静岡、熊本産です。 スイカは高知産です。 バナナはフィリピン、エクアドル産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  今号では、「転ばぬ先の杖」ではありませんが、感染症と食品の 安全についての研究を紹介しました。もしもの場合の事前の準備で すが、現時点で、果物など食品は新型コロナの感染経路にはありま せん。ビタミンが豊富な果物は免疫機能向上に有効です。(tnk)  今冬は、寒暖差が大きく、また日本海側は近年にない大雪で、お 見舞い申し上げます。首都圏の新型コロナは、少しだけ感染者数が 減りそうな気配もありますが、まだまだ高い水準です。くれぐれも 気をつけてお過ごし下さい。 (EK) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2021.  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