毎日くだもの200グラムメールマガジン □■ くだもの&健康ニュース Vol.218 ■◇ 2020年12月18日(金)配信 こんにちは! 今回は、新型コロナ感染症の流行に対処するための個々人のリスク 管理についての論文を紹介します。 ────────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ- >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:ミカン ・ くだもの広場:果物の1日当たりの摂取量の現状 ・ 文献紹介:新型コロナ感染症のリスク評価と個々人の管理戦略 ・ 文学の中の果物:植物知識(牧野富太郎) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   野の茶屋に蜜柑竝べし小春哉     - 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:ミカン ○ キャラメリゼみかんサラダ  ミカンを焼くことで甘みだけでなく香ばしさが出ます ちょっと 大人なオシャレサラダに! クリスマスのサラダにもオススメです 材料(2人前)  ミカン 2個、ハチミツ ひと回し、パッションフルーツのビネ ガー(なければお酢でもいい) ひと回し、塩 適量、サラダ お好 みの量で 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/5958304 ○ 超簡単!ミカンとセロリとお刺身のサラダ  ビタミン、ミネラル、食物繊維、抗酸化物質が豊富なミカンとセ ロリを爽やかなドレッシングで!お刺身を乗せてプチ贅沢な一皿に 材料  ミカン 1~2個、セロリ 1本、お刺身お好みで 適量、オリー ブオイル 大さじ2杯、グレープフルーツジュース 大さじ2杯、だ し醤油、塩、こしょう、白ごま、バルサミコ 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/3673507 ────────────────────────────── ■ くだもの広場:果物の1日当たりの摂取量の現状 おじさん:前回の続きで、今回は、果物の1日当たりの摂取量など  についてお話しをしよう。食事バランスガイドでは、1日に摂る  果物のおおよその量として200グラムが示されているが、それで  は、日本人1人当たり、1日にどれくらいの果物を摂取していると  思う。200グラムより多いか、少ないか、どちらだと思う? ミカ:いままでメールマガジンを読んできたし、色々なところで、  果物の食べる量が足りないと、よく聞いているから、答えは分か  るわ。200グラムよりは少ないわよね。食べているグラム数は、  確か、200グラムの半分位という数字だったように思うけど。 おじさん:さすがだね。正解だ。日本人の一日当たりの果物の摂取  量は、「令和元年国民健康・栄養調査」(厚生労働省調査)によれ  ば、96.4グラムだ。平成30年は96.7グラムだったので、ほぼ前年  と同じだが、2年連続で100グラムより少なくなった。過去10年  間の推移をみると、年により増減を繰り返しながらも、徐々に減  少してきている傾向が見られる。この国民健康・栄養調査を年齢  階層別にみると、70歳以上では150グラムを超えている一方、20  代、30代では、50グラムを下回っており、年齢階層別に摂取量に  大きな違いがある。   以前、メールマガジンで紹介した「果物消費アンケート」(中  央果実協会調査)でも、60代では、およそ40%がほぼ毎日くだもの  を摂取している一方、20代、30代では、毎日くだものを摂取して  いるのは15%程度にとどまっており、国民健康栄養調査の結果と  よく合致しており、特に若い世代での摂取量が少ない。   このアンケートでは、果物を食べる理由として一番多いのは   「おいしく好きだから」だが、2番目が「健康に良いと聞いたか  ら」となっている。健康寿命の延伸、生活習慣病の発症予防等の  推進のため厚生労働省が策定した「健康日本21(第二次)」では、  果物は体重コントロールに重要な役割があり、循環器疾患や2型  糖尿病の予防に効果、消化器系や肺がんに予防的効果があること  から、「野菜と果物の摂取量の増加」を食生活・栄養に関する大  きな目標の一つとして設定しており、各医学会で示している予防  や治療のガイドラインでも、果物が健康に役立つ食品であること  が述べられている。   日本人の一日当たりの果物の摂取量が100グラム弱にとどまっ  ている中で、一日の果物摂取量の目安である200グラムを摂るこ  とができるように、「毎日くだもの200グラム」運動を通じて、  毎日果物を食べることの必要性を積極的に発信することにしたん  だ。果物200グラムの目安は、前回のメールマガジンで、主要な  果物について紹介したが、もう少し紹介すると、キウイフルーツ  2個、なつみかん1個、はっさく1個、いよかん1個、デコポン1個、  グレープフルーツ1個、バレンシアオレンジ2個、バナナ2本など  だ。一日に200グラムと聞くと大変に思うかもしれないが、実際  に果物の重さを測ってみると、意外と少ないかもしれない。一度、  試して欲しいな。 ミカ:200グラムと聞くと大変そうに思うけど、一回ではなくて、  一日だから、例えば、朝と晩にりんご半分ずつと思えば、ちょう  どいいくらいの量だね。これからは、いろいろな果物を食べると  きに、おいしさを感じつつ、重さもイメージしながら食べたいと  思うわ。 おじさん:次回は、果物に含まれる栄養成分など食品としての特性  と機能について紹介しよう。 ────────────────────────────── ■ 文献紹介:新型コロナ感染症のリスク評価と個々人の管理戦略  新型コロナウイルス(COVID-19)感染症が拡がりを見せています。 そこで、新型コロナに対する医科学的文献を基礎としたレビューを 紹介します。  フランスなどの国際研究チームは、新型コロナ感染症のリスク評 価と個々人の管理戦略についての研究をまとめて、「臨床免疫学」 に発表しました。  個々人が新型コロナ感染症に対してどんな予防を行うかで、個人 的なリスクが異なります。食事、栄養、医療、ライフスタイル、お よび環境のリスクの可能性についての慎重な評価と、適切な関連リ スクの管理戦略が大切です。  新型コロナに感染した人を対象とした研究から、食事、栄養、年 齢、性別、病状、ライフスタイル、環境などの要因によって個々人 の感染後症状が異なります。そのため、罹患後の症状は、無症候性 から軽度、中程度、死に至るまで、個々人の臨床的運命を左右する ことが分かってきました。 【新型コロナ感染症の概要】  2019年12月、中国の武漢で未確認の肺炎の症例が発生しました。 2020年1月30日、世界保健機関(WHO)は、公衆衛生において国際的 に懸念されるとして緊急事態を宣言しました。2020年3月12日、WHO は世界的な大流行の状況にあると宣言しました。また、新型コロナ 感染症は、サーズ(重症急性呼吸器症候群)やマーズ(中東呼吸器 症候群)に次いで3つ目の人獣共通感染症であることが分かりまし た。  データは、新型コロナ感染症による死亡率は、2~5%であること が示唆されています。これはサーズおよびマーズの死亡率である 10%および40%よりも大幅に低いのですが、新型コロナ感染症の 伝染性を示す基本再生産数(R0)が、サーズやマーズなどよりも かなり高いことが分かりました。  基本再生産数R0とは、1人の感染症患者から何人に感染するかを 表す数値のことです。簡単に説明すると、R0は1人の感染者から二 次感染した平均人数を表します。R0が1より大きい場合、感染者の 数は指数関数的に増加する可能性が高く、R0が1未満の場合、自然 に沈静化する可能性があります。新型コロナのR0は1.4~5.5人なの で感染者が拡大することを示しています。R0だけでは発生を明確に 予測することはできませんが、流行やパンデミックの可能性につい ての早期警告システムとして有効です。  新型コロナ感染症は、世界で急速に蔓延しています。その伝染の 主要な要因は、咳やくしゃみによる呼吸器飛沫が人から人への感染 媒体です。一般的な予防策は、頻繁な手洗い、咳、くしゃみ、調理 中の口と鼻の覆いが含まれます。社会的距離は、症状の出たあるい は無症状の感染者との密接な接触を避けるのに役立ちます。さらに、 患者の迅速な識別、隔離、および治療が新型コロナ感染症の蔓延に 影響を与えます。  個々人の健康状態も新型コロナ感染症の臨床経過と結果を決定し ます。新型コロナ感染症には特別な治療法がないため、ほとんどの 患者管理は支援的対策です。  世界的なパンデミックの蔓延に伴い、私たちは、新型コロナ感染 症に罹患する可能性があります。したがって、感染リスクを正しく 評価し、リスクを最小限に抑えることが大切です。 【感染の原因と予防】  新型コロナウイルスは、空気中に浮遊している場合は、わずか3 時間しか生存していませんが、ポリプロピレンプラスチックでは最 大3日、ステンレス鋼では数日、ボール紙では24時間、生存してい ます。  一方、62~71%アルコール(エタノール)、0.5%過酸化水素、ま たは0.1%次亜塩素酸ナトリウムなどの表面消毒剤は、1分以内に新 型コロナウイルスを効率的に不活化することができます。 【重篤患者】  重症患者を診察すると、2つの生活習慣病が新型コロナ感染症を 悪化させます。1つ目は高血圧です。重症患者の23.7%が高血圧に 苦しんでいます。二つ目は、糖尿病です。重篤な症例の16.2%が罹 患していました。さらに、冠状動脈性心臓病(5.8%)と脳血管疾 患(2.3%)の重症例が報告されています。喫煙なども発症に影響 を与えると考えられています。こうした生活習慣病や生活習慣が、 新型コロナ感染症の病状を進行させます。 【性別】  中国とイタリアの両方で、女性よりも男性の方が死亡率が高いと 報告しています。 【高齢者】  高齢者は、若者よりも呼吸器疾患を含む感染症にかかりやすく、 死亡率が高くなります。また、発症は、年齢、食事、栄養、免疫に も関係があります。一般的に高齢者に見られる微量栄養素欠乏は、 加齢関連疾患に関係しており、免疫機能の低下にも関与しています。 高齢者で有病率が高いのは、食欲不振と食事の多様化がほとんどな いということの結果です。 【食事】  食習慣と栄養は常に免疫機能に影響を与え、感染症のリスクと重 症度を左右します。食事、栄養、感染、免疫の間には双方向の関係 があります。1つのコンポーネントの変更は、他のコンポーネント に影響を与えます。そのため、食事中の主要栄養素、微量栄養素、 植物栄養素の適切な摂取が大切です。  特に、色とりどりの果物や野菜は、健康的に免疫機能を向上しま す。抗酸化活性があり免疫機能を調節する抗炎症成分であるβ-カ ロテン、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを含む果物や 野菜などの植物性食品の摂取が、リスク軽減のための実行可能な重 要なオプションです。  以上のように、食事、栄養、ライフスタイルなどのリスクを個別 に評価することは、新型コロナ感染症に対処するための賢明な方法 です。 【文献】 Gasmi, A. et al.: Individual risk management strategy and potential therapeutic options for the COVID-19 pandemic. Clin. Immunol., 215: 108409. (2020) [doi: 10.1016/j.clim.2020.108409] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:植物知識(牧野富太郎) ミカン  ミカンすなわち蜜柑は、食用果実として名高く且(か)つ最もふ つうのものであるが、世人(せじん)はそのミカンの実のいずれの 部分を味わっているのか知らぬ人が多いのであろう。そしてそのミ カンは、その毛の中の汁(しる)を味わっている、と聞かされると みな驚いてしまうだろうが、実際はそうであるからおもしろい。も し万一ミカンの実の中に毛が生(は)えなかったならば、ミカンは 食(く)えぬ果実としてだれもそれを一顧(いっこ)もしなかった であろうが、幸(さいわ)いにも果中(かちゅう)に毛が生(は) えたばっかりに、ここに上等果実として食用果実界に君臨(くんり ん)しているのである。こうなってみると毛の価(あたい)もなか なか馬鹿(ばか)にできぬもので、毛頭(もうとう)その事実に偽 (いつわ)りはない。  ミカンの属は学問上ではシトルス(Citrus)と称し、属中には多 数の種類を含んでいる。日本にあるダイダイ、クネンボ、ウンシュ ウミカン、ナツミカン、コウジ、ユズ、ベニミカン、ヤツシロミカ ン、レモン、マルブシュカン、トウミカン、コナツミカン、オレン ジ、サンボウカン、ザボン、キシュウミカン(コミカン)、ポンカ ン(元来(がんらい)台湾産、九州に作っている所がある)などみ なその果実の構造は同一で、いずれも甘汁(かんじゅう)もしくは 酸汁(さんじゅう)を含んでいる毛がその食用源をなしているので ある。これらミカン類の貴(とうと)さも、つまるところは前述の とおりその果内(かない)の毛に帰(き)するわけだ。  ミカン類の果実は、植物学上果実の分類からいえば漿果(しょう か)と称すべきであるが、なお精密にいえば漿果中(しょうかちゅ う)の柑橘果(かんきつか)と呼ぶべきものである。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、沖縄県中央卸売市場に入荷している果物を紹介します。 入荷量が多いのは、ミカン、天草、リンゴ、バナナ、パイナップル などです。 [旬の果物と産地] ウンシュウミカンは和歌山、愛媛産です。 天草は沖縄産です。 ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジはオーストラリア産です。 グレープフルーツ、レモンはアメリカ産です。 リンゴ(ふじ、王林)は青森産です。 メロン(ハネジュ、など)はオーストラリア産などです。 スイカは沖縄産です。 バナナ、パイナップルはフィリピン産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  新型コロナ感染症の流行に備えて、リスクの評価と管理戦略につ いてまとめた論文を紹介しました。知っていることも多いかと思い ますが、食事や栄養についての情報は少ないように思います。お正 月に向けて、果物の豊富な食事で免疫機能を高めてください。良い お年をお迎えください。(tnk)  今年、最後のメルマガをお届けします。今年は、新型コロナウィ ルスにより、社会も生活も大きく変わった年として記憶されること になりそうです。来年は、普通の年になるように祈っています。皆 様、良いお年をお迎えください。(EK) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2020.  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