毎日くだもの200グラムメールマガジン □■ くだもの&健康ニュース Vol.170 ■◇ 2018年12月3日(月)配信 こんにちは。 果物の中の果糖(フルクトース)について心配している人がおられ るのではないでしょうか。今号では、その医科学的解答を紹介して います。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ− >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:干し柿 ・ くだもの広場:日本の果物が宇宙へ! ・ 文献紹介:果物中のフルクトース(果糖)は有害ではない! ・ 文学の中の果物:宮本武蔵・ 空の巻(吉川英治) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   干柿や湯殿のうしろ納屋の前     − 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:干し柿 ○ 豚こまと小松菜と干し柿の和風スパゲティ  干し柿のほのかな甘みと豚こまのこっくり感が美味しいレシピです。 材料(2人分)  干し柿 2個、豚こま100g、小松菜 1束、スパゲティ 200g、 酒・みりん・砂糖・濃口醤油。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/4973514 ○ 干し柿のチキンロール  一見「なにコレ?」でも食べたら大好評 材料  干し柿 3〜5個、イチゴジャム(他の果物ジャムでも) 大さじ 2杯、鶏むね肉 1枚、固形orスライスチーズ、小麦粉、酒、など。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/2088033 ────────────────────────────── ■ くだもの広場:日本の果物が宇宙へ! おじさん:少し前の話になるけれど、日本の果物が宇宙に行った  ということがニュースになったね。覚えているかな? リン:へぇ、そんなことがあったの?ちっとも知らなかったよ。 ミカ:私も知らなかったわ。 おじさん:日本の宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)で  活躍していることは知っているだろう?今度は日本の農産物  が宇宙で活躍したんだよ。日本で宇宙開発の仕事をしている  宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、今年の9月に補給機の「こう  のとり」7号機でISSに日本産の青果物を届けたんだ。 ミカ:どんな青果物を届けたの? おじさん:シャインマスカットと温州みかん、タマネギ、パプ  リカを届けたそうだ。宇宙ではなかなか新鮮な食品を食べる ことができないから、宇宙飛行士のストレスを緩和するため、  JAXAは2015年から一定の要件を満たした生鮮食品をISSに届け  ているそうだよ。 リン:宇宙飛行士の人たちは喜んだことだろうね。 おじさん:そうだね。動画配信サイトのYOU TUBEで、宇宙飛行  士が喜んでいるところが配信されたそうだよ。 ミカ:シャインマスカットは皮ごと食べられるし、ほとんどが  種無しだから宇宙に届けるには最適ね。 リン:みかんも手で皮をむけるからナイフなどを使わずにすん  で安全だよね! おじさん:本当だね。宇宙に持って行くことが認められる生鮮  食品は、調理性、保存性、衛生性、安全性、食品残さ、搭載  量の制約などの技術的要件を踏まえて選定されるということ  だけれど、安全性の要件として、種子を食べる食品でないこ  と、食べるときに著しい果汁の飛散が無いこと、アレルギー  等の表示対象食品でないこととされているんだよ。また、食  べた後の食品残渣が極力少ないことも要件に掲げられている  よ。シャインマスカットやみかんは、このような条件にぴっ  たりだといえるね。 ミカ:ISSに届けたということはJAXAの衛生基準を満たしたと  いうことだから、産地の関係者も自信がついたことでしょう  ね。それに何よりも自分たちが丹精込めて生産した果物が  宇宙に行ったということは、さぞ嬉しいことだっただろうと  思うわ。 リン:僕も大きくなったら宇宙に行って、地球を見ながら美味  しい果物を食べたいな! ミカ:そのためには一生懸命勉強して宇宙飛行士の試験に合格  する必要があるわよ。 リン:え〜っ、そうなの?厳しいなぁ。 ─────────────────────── ■ 文献紹介:果物中のフルクトース(果糖)は有害ではない!  糖尿病や肥満の有病率の増加時期と、甘味料として高フルクトー ス(果糖)コーンシロップ(HFCS)の導入時期が一致していること から、最近、フルクトース(果糖)が公衆衛生上の問題として浮上 しています。一方で、フルクトースを含む食品と肥満や糖尿病との 関連についての解析は遅れています。  そこで、カナダ・聖マイケルズ病院の研究チームは、フルクトー スを含む果物などの食品について解析した結果、果物などは血糖値 に有害な影響をもたらさないと、四大医学雑誌の一つである「イギ リス医学雑誌(BMJ)」に発表しました。同時に、加糖飲料などカ ロリーを添加した食品は有害であると結論づけました。  研究チームは、ヒトの血糖値や糖尿病などに対するフルクトース 含有食品の影響を12週間まで評価した155件の先行研究を系統的に 解析しました。  解析の結果、フルクトースを含む食品は、それらが過剰なカロ リーを供給することがない限り、血糖値には有害な影響を及ぼさな いことが明らかになりました。また、フルーツジュースも過剰なカ ロリーを供給しない場合には、血糖値に対して有益な影響をもたら すことが明確となりました。さらに、果物は、糖尿病患者のヘモグ ロビンA1c(HbA1c)に対する有益な効果も確認されました。一方、 フルクトースなどを添加した過剰なカロリー飲料などは、有害な影 響があることが分かりました。  糖尿病などに対する果物の有益な効果を示す理由は以下の通りで す。フルクトースは他の炭水化物に比べて低いグリセミックインデ ックス(GI)をもち、かつ、果物に豊富な食物繊維もGI値を下げる ことから、果物を摂取すると食事全体のGI値が下がりインシュリン を生成するβ細胞のストレスを軽減するためと、研究者らは考えて います。  さらに、公衆衛生の専門家は、フルクトースの血糖値に対する有 害な影響は、カロリーによって異なることを認識しておく必要があ ると述べています。  食事全体で何を食べるかが健康と密接に関係していることが明確 になる中、アメリカ、心肺・肺・血液研究所などが開発したダッシ ュ・ダイエットは、USニュースで、糖尿病や肥満予防などに対して 最も優れているダイエットであると評価されています。ダッシュダ イエットでは毎日、果物を握り拳5個摂取することを推奨していま す。中くらいのリンゴなら2個半、ミカンなら5個です。 【文献】 Choo, V.L. et al.: Food sources of fructose-containing sugars and glycaemic control: systematic review and meta-analysis of controlled intervention studies. BMJ, 363: k4644. (2018) [doi: 10.1136/bmj.k4644] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:宮本武蔵・ 空の巻(吉川英治)  もの心つくと、世間の波へ抛(ほう)り出されて、拾われた手は また、流転(るてん)の人であった。勢い、旅から旅の苦労を舐 (な)め、どうしてもおませになるべく環境が迎えてくるので仕方 がないが、近頃、時々あらわす生意気さ加減には、お通もよく泣か されて、 (なんだってこんな子に、こう馴(な)つかれてしまったのかし ら)  と、ため息ついて、睨んでやることもある。  しかし効(き)き目のあろうわけはない。城太郎は知り抜いてい るのだ。そんな怖(こわ)い顔したって、心のなかでは、おいらが 可愛くてならないくせに――と。  そういう横着と、今の季節と、飽くことを知らない胃ぶくろが、 行く先々、食べ物とさえ見れば、 「よう、よう、お通さんてば。あれ買っておくれよ」  と、彼の足を、往来へ釘づけにしてしまう。  先ほど、通りこえた須原(すはら)の宿(しゅく)には、木曾将 軍の四天王、今井兼平(かねひら)の砦(とりで)の址(あと)が あるところから「兼平せんべい」を軒並み売っていたため、とうと うそこでは、お通が根負けして、 「これだけですよ」  念を押して、買って与えたが、半里(はんみち)と歩かない間 (うち)に、それもぼりぼり食べ終ってしまい、ややともすると、 なにか物欲しそうな顔をする。  寝覚(ねざめ)では、宿場茶屋の端をかりて、早目な昼めしを喰 べたので、事なく済んだが、やがて一峠越えて、上松(あげまつ) のあたりへかかると、 「お通さん、お通さん。干し柿が下がっているぜ。干し柿喰べたく ないかい?」  そろそろ謎をかけ始める。  牛の背に乗って、牛の顔のように、お通が聞えない振りをしてい るので、空(むな)しく、干し柿は見過ごしてしまったが、程なく 木曾第一の殷賑(いんしん)な地、信濃(しなの)福島の町中へさ しかかると、折から陽も八刻(やつ)頃だし、腹も減(へ)り頃な ので、 「休もうよ、そこらで――」  と、また始め出した。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、神戸市中央卸売市場本場に入荷している果物を紹介しま す。入荷量が多いのは、ミカン、カキ、リンゴなどです。 ウンシュウミカンは香川、愛媛、熊本産です。 リンゴ(ジョナゴールド、ふじ、王林)は青森産です。 カキ(富有)は奈良産です。 メロン(アールス、など)は静岡、高知産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  講演会などで、医師から果物に含まれている果糖について批判を 受けることが良くあります。今回の医科学論文で、医師たちのこう した批判や疑問を解決してくれると考えています(tnk)  先日、テレビの情報番組で、みかんの健康機能について特集して いたそうです。残念ながら事前に知らなかったため見逃してしまい ましたが、有名な某予備校講師の方が司会をする番組だったので、 多くの方が視聴していたことだろうと思います。みかんの健康機能 が注目されることは嬉しいですね。(HK) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2018.  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