毎日くだもの200グラムメールマガジン □■ くだもの&健康ニュース Vol.164 ■◇ 2018年9月10日(月)配信 こんにちは。 本号では、「低炭水化物では果物はダメといっているけど?」との お客様からの問いに答える論文を紹介しています。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ− >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:イチジク ・ くだもの広場:不老不死の果物? ・ 文献紹介:炭水化物の摂取率と死亡率の研究から低炭水化物食        より果物などが豊富なDASH食がお勧め ・ 文学の中の果物:老ハイデルベルヒ(太宰治) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   無花果や八百屋の裏にまだ青し     − 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:イチジク ○ 旬の果物!イチジク美味しい天ぷら  イチジク 火を入れた方が甘味うま味とも最高? 材料  イチジク(熟し過ぎて無い物) 2個、小麦粉、マヨネーズ、鶏ガ ラスープの素、うちこ、など。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/5205826 ○ いちじくとたっぷり夏野菜のカレー  たっぷり夏野菜の定番カレーに兵庫特産のいちじくをプラス。味 に深みとまるみが出て美味しい…いちじく×カレー、あいますね! 材料  イチジク 1個、豚こま肉 100g、玉ねぎ 1個、にんじん 1/2個、 ナス 1本、ピーマン2個、トマト 1個、など。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/2770803 ────────────────────────────── ■ くだもの広場:不老不死の果物? おじさん:さて、前回は果物とお菓子についての話をしたけれ  ど、今日は少し変わった話をしようかな。果物が不老不死の  食べ物だと考えられていたという話だよ。 ミカ:果物が健康によいということは知っていたけれど、不老  不死というのはずいぶん飛躍しているわね。 リン:不老不死って死なないということでしょ?そんな果物が  あるの? おじさん:いやいや、本当に不老不死になれる果物があったら、  それを発見した人はノーベル賞ものだよ。不老不死の食べ物  と「考えられていた」ということだから間違えないでね。 ミカ:いったいどんな果物が不老不死の食べ物と考えられてい  たの? おじさん:うん、それは橘(タチバナ)という柑橘類の果物な  んだ。昔々、垂仁(すいにん)天皇という第11代天皇の時代に、  田道間守(たぢまもり)という人が天皇の命により「非時香菓  (ときじくのかぐのこのみ)」という不老不死の霊菓を求めに  「常世国」(とこよのくに:古代の日本で信仰された海の彼方  にある理想郷)に派遣されたということになっているのだけ  れど、この「非時香菓」という霊菓がタチバナのことだとさ  れているんだよ。ミカさんは学校で「古事記」とか「日本書  紀」という歴史書について習っただろう?この話は「古事記」  と「日本書紀」のどちらにも記されているんだ。 リン:へぇ〜、それで田道間守は無事にタチバナを持ち帰るこ  とができたの? おじさん:うん、10年かかって何とか葉の付いた枝を8本、葉の  ない果実の付いた枝を8本持ち帰ったということになっている  よ。しかし、やっとの思いで田道間守が日本に帰ったとき、  垂仁天皇はもう亡くなられていたそうだ。それで、田道間守  は持ち帰ったタチバナの枝を4本ずつに分けて、片方を太后に  献上し、もう片方を垂仁天皇の陵の入口に供え置いて泣き叫  んだ末に亡くなったと伝えられているんだ。 ミカ:まぁ、悲しいお話しね。でもなぜタチバナが不老不死の  「非時香菓」だと考えられたのかしらね。 おじさん:それにはいろいろな説があって、田道間守の名前か  らタヂマバナがタチバナになったという説もあるんだ。しか  し、タチバナは古来から野生していた日本固有の植物なので、  田道間守が常世国から持ち帰った「非時香菓」は、タチバナ  ではなくてダイダイであるとか小ミカンであるとかと主張し  ている学者もいるんだよ。でも、本当のところはよくわから  ないんだ。  ところで、「非時香菓」には「菓」という字が使われている  ことに気がついたかな? 前回説明したように、「菓」とい  う文字は果実を指していたということがわかるね。 リン:あっ本当だ。 おじさん:この話には、もう一つ面白い続きがあるんだよ。後に  聖武天皇が「橘は菓子の長上、人の好むところなり」と言われ  たことから、タチバナを日本に持ち帰った田道間守はお菓子の  神様として祀られるようになったんだ。田道間守を祀った兵庫  県の中嶋神社では、毎年4月に「菓子祭」とも「橘花祭」とも  いうお祭りが開かれて、全国の菓子製造業者が参列して業界の  繁栄を祈願するそうだよ。また、和歌山県の橘本神社には田道  間守が持ち帰ったとされるタチバナがあって、こちらでも毎年  4月に「菓子祭」が開かれているほか、毎年10月には「みかん祭」  が開かれ、みかんの生産者や果物業者が参列するということだ。 ミカ:同じ神社でお菓子のお祭りとみかんのお祭りが開かれると  いうのは面白いわね。田道間守が持ち帰ったタチバナも一度見  てみたいわ。 ─────────────────────── ■ 文献紹介:炭水化物の摂取率と死亡率の研究から低炭水化物食        より果物などが豊富なDASH食がお勧め  果物やご飯、パンなどに含まれている炭水化物を制限して、タン パク質や脂肪の多い肉の摂取を勧める低炭水化物ダイエットが流行 っています。低炭水化物ダイエットは、一時的に体重減少に効果が あります。しかし、長期的には、肉の摂取量が多いことから、ガン や心臓病など生活習慣病のリスクが高まる可能性があると指摘され ています。  そこで、アメリカのボストンにあるブリガムアンドウィメンズ病 院の研究者らは、食事における炭水化物の摂取比率と死亡率との関 係を調べ、著名な医学雑誌「ランセット公衆衛生」に発表しました。  研究では、4つの多様なアメリカのコミュニティに住む45歳〜64 歳の男女15428人を対象に、全死因死亡率と食事中の炭水化物の摂 取比率や動植物食品の摂取頻度との関係を調べました。20年以上の 追跡調査中に6283人の死亡がありました。  その結果、低炭水化物ダイエット(総エネルギーに対する炭水化 物の比率が40%未満)と高炭水化物(炭水化物が70%以上)は、死 亡リスクが高く、炭水化物の比率が50〜55%で死亡リスクが最も低 いことが分かりました。  また、北アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどで行われた追跡調査 のデータに基づくメタアナリシスでも、炭水化物の比率と死亡率と の間に両極が高いU字型の関係が認められました。  一方、低炭水化物でも、動物食を植物食に置き換えると死亡率が 改善することも分かりました。  以上の結果、炭水化物の比率が高い場合と低い場合の両方が、死 亡率の増加と関連し、50〜55%の炭水化物摂取量でリスクが最小に なることが明らかとなりました。  この結果は、メルマガ138号で紹介したUSニュースのダイエット ランキング第一位で果物・野菜が豊富なDASH食の炭水化物の比率と 一致しており、その有用性が裏づけられました。DASH食では、果物 は野菜と同等で、毎日4〜5サービングの摂取を勧めています。 【文献】 Seidelmann, S.B. et al.: Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis. Lancet Public Health, pii: S2468-2667(18)30135-X. (2018) [doi: 10.1016/S2468-2667(18)30135-X.] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:老ハイデルベルヒ(太宰治)  三島には、有名な三島大社があります。年に一度のお祭は、次第 に近づいて参りました。佐吉さんの店先に集って来る若者達も、そ れぞれお祭の役員であって、様々の計画を、はしゃいで相談し合っ て居ました。踊り屋台、手古舞、山車(だし)、花火、三島の花火 は昔から伝統のあるものらしく、水花火というものもあって、それ は大社の池の真中で仕掛花火を行い、その花火が池面に映り、花火 がもくもく池の底から涌(わ)いて出るように見える趣向になって 居るのだそうであります。凡(およ)そ百種くらいの仕掛花火の名 称が順序を追うて記されてある大きい番附が、各家毎に配布されて、 日一日とお祭気分が、寂れた町の隅々まで、へんに悲しくときめき 浮き立たせて居りました。お祭の当日は朝からよく晴れていて私が 顔を洗いに井戸端へ出たら、佐吉さんの妹さんは頭の手拭いを取っ て、おめでとうございます、と私に挨拶いたしました。ああ、おめ でとう、と私も不自然でなくお祝いの言葉を返す事が出来ました。 佐吉さんは、超然として、べつにお祭の晴着を着るわけでなし、ふ だん着のままで、店の用事をして居ましたが、やがて、来る若者、 来る若者、すべて派手な大浪模様のお揃いの浴衣(ゆかた)を着て、 腰に団扇(うちわ)を差し、やはり揃いの手拭いを首に巻きつけ、 やあ、おめでとうございます、やあ、こんにちはおめでとうござい ますと、晴々した笑顔で、私と佐吉さんとに挨拶しました。其の日 は私も、朝から何となく落ちつかず、さればといって、あの若者達 と一緒に山車を引張り廻して遊ぶことも出来ず、仕事をちょっと仕 掛けては、また立ち上り、二階の部屋をただうろうろ歩き廻って居 ました。窓に倚(よ)りかかり、庭を見下せば、無花果(いちじ く)の樹蔭で、何事も無さそうに妹さんが佐吉さんのズボンやら、 私のシャツやらを洗濯して居ました。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、横浜市中央卸売市場本場に入荷している果物について紹 介します。入荷量が多いのは、リンゴ、モモ、ナシ、ブドウなどで す。早生のクリや香酸カンキツ(ユズ、カボス、スダチ、レモン) が、市場へ出回りはじめました。 ウンシュウミカンは佐賀、愛知、宮崎産です。 レモンは愛媛産、スダチは徳島産、カボスは佐賀産です。ユズやバ レンシアオレンジなども出回っています。 リンゴ(つがる、など)は青森、岩手産などです。 ニホンナシ(幸水、豊水、二十世紀、など)は福島、栃木、神奈川、 秋田、福島産です。 セイヨウナシは山形産です。 モモは山形、福島、山梨産です。 ネクタリン(秀峰、など)は長野産です。 スモモは山梨産、プルーンは長野産です。 カキ(西村早生、刀根早生、など)は愛知、和歌山産です。 クリは茨城産です。 ブドウ(デラウェア、マスカット・ベリーA、甲斐路、マスカッ ト・オブ・アレキサンドリア、ピオーネ、など)は山形、長野、山 梨産などです。 イチゴは山形産です。 メロン(アールス、キスミー、など)は静岡、茨城、青森産です。 スイカは山形、鳥取、神奈川、愛知産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  「肉食か菜食か」や、「炭水化物の比率」、「果物は必須か」な どの論争には、長い歴史があります。しかし、流行とは別に最新の 医科学データは、論争の決着が近いことを示しているように思いま す。(tnk)  7月から続いていた猛暑がやっと終わりつつあります。いよいよ 秋の到来です。いろいろな果物が旬を迎え、果物売場が賑やかに なる季節ですね。どんな果物を食べようか、目移りしてしまいま すが、まずはぶどうの食べ比べを楽しみたいと思います。(HK) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2018.  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