毎日くだもの200グラムメールマガジン □■ くだもの&健康ニュース Vol.162 ■◇ 2018年8月3日(金)配信 こんにちは。 今号では、果物の摂取が大切なことを示す信頼できる論文を2つ紹 介しています。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ− >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:ブドウ ・ 文献紹介:低脂肪・果物・野菜中心食で乳ガン患者の生存率が        高まる ・ 文献紹介:マルチビタミンやミネラルのサプリメントに心血管        疾患予防効果なし ・ 文学の中の果物:夏の手紙−立原道造に(堀辰雄) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   小説を好むあるじや葡萄棚     − 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:ブドウ ○ 鴨肉、桃、マンゴー、葡萄のフルーツサラダ  ローストした鴨肉にモモ、マンゴーそしてロザリオビアンコ(ブ ドウ)を合わせたお洒落なフルーツサラダです。 材料(2人分)  ブドウ(ロザリオビアンコ) 10粒、モモ 1/2個、マンゴー 1/2 個、鴨肉(ローストしたもの) 100g、イタリア七味、チャービル、 シブレット、バルサミコ酢、赤ワイン、など。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/5172898 ○ 葡萄の葉とベーコンのハーブパスタ  ハーブの香りとブドウの葉の酸味が爽やか! ワインと一緒にどうぞ 材料(2人分)  ブドウの葉(今回はカベルネ・ソーヴィニヨン) 6枚、ベーコン 50g、パスタ 200g、卵 1個、バター 10g、オリーブオイル、赤ワイ ン、パセリ、など 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/2631030 ────────────────────────────── ■ 文献紹介:低脂肪・果物・野菜中心食で乳ガン患者の生存率が        高まる  低脂肪で果物、野菜、全粒穀物中心の食事パターンか、低炭水化 物・肉食ダイエットかで問題となる脂質の比率についての論文が発 表されましたので紹介します。  アメリカ、シティオブホープ国立医療センターの研究チームは、 低脂肪で果物、野菜、全粒穀物中心の食事をしている乳ガン患者は 生存期間が伸びると、「アメリカ医師会雑誌(JAMA)腫瘍学」に発 表しました。  研究では、脂質エネルギー比率が32%を超えていた乳ガンでない 閉経前の女性48,835名を対象に、介入試験を8.5年間行いました。 介入試験では、対象者を@脂質を20%まで減らし、果物、野菜、全 粒穀物を摂取を増やした群とA通常食の群にランダムに振り分けま した。  試験期間中に1,764名が乳ガンと診断され516名が死亡しました。 食品群別では、低脂肪(20%以下)・果物・野菜・全粒穀物食群の 女性の10年生存率は82%で、通常食群の女性よりもリスクが22%低 下して有意に長くなることが分かりました。  乳ガンと診断された女性の生存期間が延長した原因は、乳ガンに よる死亡率が低下したからだけでなく、別のガンによる死亡率や心 血管疾患による死亡率の低下も影響していました。 【文献】 Chlebowski, R.T. et al.: Association of Low-Fat Dietary Pattern With Breast Cancer Overall Survival - A Secondary Analysis of the Women’s Health Initiative Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol., Online May 24, (2018) [doi:10.1001/jamaoncol.2018.1212] ─────────────────────── ■ 文献紹介:マルチビタミンやミネラルのサプリメントに心血管        疾患予防効果なし  世界各国で、サプリメントの有効性について検証が続けられてい ます。本メルマガでも158号でカナダ、トロント大学などが発表し た論文を紹介しました。今回は、アメリカの研究を紹介します。  アラバマ大学などの研究チームは、マルチ(総合)ビタミンやミ ネラルのサプリメントを摂取しても、心臓発作や脳卒中、心血管関 連死に対する予防効果は期待できないと、アメリカ心臓協会の学術 誌「循環器:心血管性質と転帰」に発表しました。  研究では、循環器疾患に関連する無作為比較試験、前向きコホー ト研究など18の研究を再検証しました。研究対象者はのべ200万人 以上、追跡期間は平均12年でした。  その結果、マルチビタミンやミネラルのサプリメントの服用と心 血管疾患による死亡リスクの低下には関連性が認められませんでし た。  この結果を受けて、論文の筆頭研究者は、「マルチビタミンやミ ネラルのサプリメントが心血管疾患を予防できないということを、 栄養の研究者も含めて人々に周知するのは、非常に難しいことです。 私たちの研究結果が、マルチビタミンやミネラルのサプリメントに 関わる売り文句を少なくし、心血管疾患のリスクを低下させるため の立証された方法―つまり果物・野菜の摂取量を増やし、運動をし、 喫煙しない―を実践する人々を励ますことに役立てばと期待してい ます」と述べています。  さらに、サプリメントに対する各機関や学会の見解を紹介します。 アメリカ食品医薬品局(FDA)によると、サプリメントは医薬品と は異なり、その有効性や安全性について当局の承認を必要とする法 律は無く、また製品ラベルに疾患の治癒、治療、緩和や予防といっ た表記を認めていません。  マルチビタミンやミネラルサプリメントを利用するアメリカ人は 30%に上り、世界のサプリメント市場規模は2024年までに278億ド ルに到達すると予想されています。これらのサプリメントに心血管 疾患の予防効果がないことを示す信頼性の高い研究が複数存在した にも関わらず、その効果についての論争がここ何年も続いています。  アメリカ心臓協会は、心血管疾患予防を目的としたマルチビタミ ンやミネラルのサプリメント利用を推奨していません。協会の首席 予防医務官は、「健康な心臓のために健康的な食事を摂り、長く健 全な人生を。果物や野菜をより多く摂り、過剰なカロリー、飽和脂 肪、トランス脂肪酸、塩分、砂糖と食事性コレステロールを制限す る、という、バランスのとれた栄養豊富な食事に代わるものはな い」と語っています。 【文献】 Kim, J. et al.: Association of Multivitamin and Mineral Supplementation and Risk of Cardiovascular Disease - A Systematic Review and Meta-Analysis. Circ. Cardiovasc. Qual. Outcomes, 11: e004224. (2018) [doi: 10.1161/CIRCOUTCOMES.117.004224] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:夏の手紙−立原道造に(堀辰雄)  けふ偶然に屆いたモオリアックの日記を手にとつて見てゐると、 彼がその大部分の小説の舞臺に使つたマラガアル地方の風景のこと だの、それに對する彼の偏愛だの、又、その地方の實際の風景は小 説のそれとはだいぶ異つてゐることだのを率直に語つてゐる頁に出 合つた。さうしてその何處へいつても葡萄畑の果てしなく續いてゐ るやうな田舍の風景を、いまこそ生地のまま描いて見せながら、何 度自分はこの「夏がその熱を測量させる」平原を描いたか! とモ オリアックは云ふ。ここかしこの屋根の上や葡萄畑の上の煌めき、 麻痺したやうな沈默、それらすべてのものは「それ自身」存在して ゐるのだらうか? 自分は自分の愛してゐた人達、自分の發明した 人達を通してそれを見つめてばかりゐたので、この風景は自分にと つては人間的な、餘りにも人間的なものになつてしまつてゐる……。  「が、どうにもしやうがない! 私は敢へて自分の考へるところ を言はう。――この風景こそは、自分の眼には世界中で一番美しい もの、生き生きとした、まるで同胞のやうなもの、私の知つてゐる ことは何でも知つてゐる唯一のもの、私がもう誰にも語らうとはせ ぬ滅びた顏をもまだ覺えてゐる唯一のもの、さうして夕方、酷熱の 日の後などは、その風が神の被創造物の生氣のある、熱い呼吸でで もあつて、まるで母に抱かれてでもゐるかのやうだ。おお、息づい てゐる大地よ」  さういふフランスのマラガアル地方とは、凡そ風景が異ふが、こ の僕の(君はそれはまた私のですと言ひたいところだらうね?)山 麓の小さな村々に就いて、前者におけるモオリアックの場合と同樣、 それとそつくり同じやうなことを僕は(恐らくは君も亦)どんなに 言ひたいだらう。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、名古屋市中央卸売市場北部市場に入荷している果物につ いて紹介します。入荷量が多いのは、スイカ、メロン、モモ、ナシ、 ブドウ、パイナップルなどです。夏の果物が勢揃いしました。 ウンシュウミカン(ハウスみかん)は愛知、静岡、宮崎産です。 バレンシアオレンジはアメリカ産、グレープフルーツは南アフリカ 産、レモンはチリ産です。 モモ(あかつき、なつっこ、など)は長野、山梨、福島産です。 スモモ(太陽、ソルダム)は山梨、長野産です。 サクランボは北海道産です。 ニホンナシ(幸水)は佐賀、愛知産です。 ブドウ(デラウェア、巨峰、など)は山形、大阪、山梨、長野産で す。 メロン(アールス、アンデス、タカミ、など)は愛知、静岡、山形、 青森産です。 スイカは山形、長野、秋田産です。 バナナ、パイナップルはフィリピン産です。 キウイフルーツはニュージーランド産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  医師や栄養士などからの「果物の食べ過ぎに注意」といった言い 方での果物への批判が後を絶ちません。こうした批判に対しては、 アラバマ大学の研究者のように、果物・野菜の摂取量を増やし、運 動をし、喫煙しないなどの立証された生活習慣をまるごと、根気強 く伝えることが大切と思っています。(tnk)  大雨に続き「命に関わる危険な暑さ」が長期間にわたって続くな ど、最近の気象は異常としか言いようのないことになっています。 果樹農業の現場でも管理作業等の忙しい時期ですが、生産者の皆様 は熱中症にならないよう、水分・塩分の適切な補給と休憩時間の確 保にくれぐれもご注意ください。(HK) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2018.  Kudamono & Kenko News 無断での転載、複製等はお断りします。ご協力に感謝いたします。 ────────────────────────────── ▽ 「読者から」欄への投稿方法  「読者から」欄への投稿は、下記のサイトからです。皆様からの 果物にまつわる思い出、食べ方の工夫、メルマガへのご意見、ご感 想など、楽しいお話をお待ちしています。  メールの件名は「投稿」としていただき、メルマガネームを記載 していただければ幸いです(例:りんごちゃん)。  また、本メルマガの転載依頼もこのサイトをご利用ください。件 名は「転載申し込み」でお願いします。 くだもの&健康ニュースへの投稿アドレスは下記です。 kudamononews@kudamono200.or.jp ────────────────────────────── ▽メルマガのバックナンバーは、下記に掲載しています。 http://a.hml.jp/bm/p/bn/list.php?i=hm020254&no=all http://www.japanfruit.jp/consumption/mailmagazine.html ────────────────────────────── ▽メールマガジンの配信登録・解除等は下記です。 http://a.hml.jp/bm/p/f/tf.php?id=hm020254 ──────────────────────────────