毎日くだもの200グラムメールマガジン □■□ くだもの&健康ニュース Vol.93 ■□■ 2015年9月11日(金)配信 みなさん、こんにちは! 文献紹介では、「果物の摂取で心血管疾患や早期死亡のリスク低 減」を紹介しています。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ− >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:カキ ・ くだもの広場:果物の消費量の調査(つづき)「国民健康・栄養調査」 ・ 文献紹介:果物と野菜の摂取で心血管疾患などのリスクが低下 ・ 文学の中の果物:お母さんの思ひ出(土田耕平) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   柿落ちて犬吠ゆる奈良の横町かな    − 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:カキ ○ 柿とこんにゃくの胡麻和え  コッテリでおいしい、カキの甘みとこんにゃくの歯ごたえがいい! 材料(4人分)  カキ(柔らかいのは不向き) 1つ、こんにゃく 200g、練りごま 大 さじ2杯、薄口醤油 大さじ1杯 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 http://cookpad.com/pro/recipes/2755488 ○ 柿とりんごのサラダ  カキとリンゴをマヨネーズで これがなかなかうまい 材料  カキ 1個、リンゴ 1個、マヨネーズ 大さじ2杯、クレイジーソルト 少量 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 http://cookpad.com/recipe/3383876 ────────────────────────────── ■ くだもの広場:果物の消費量の調査(つづき)「国民健康・栄養調査」  果物好きの姉弟のミカさんとリン太君。果物の消費量の調査方法 について勉強を続けています。前回までは「食料需給表」について 詳しく調べましたが、今回は、「国民健康・栄養調査」について 勉強を進めます。 リン:食料需給表のほかに、果物の消費量を調査したものは無いの? おじさん:ミカさんが言ってた”供給量”から計算したものではなくて、 実際に食べた”食事内容”を調査したものもあるんだ。  厚生労働省が毎年調査している「国民健康・栄養調査」がそれ なんだけど、全国の約3500世帯、約8000人について、身体状況 (身長、体重、腹囲、血圧など)、生活習慣(食事、運動、睡眠など)、 栄養摂取状況(外食、給食、家庭食等での料理名、食品名、数量など) を詳しく調査しているんだ。 このうち、栄養摂取状況は、11月のうちの1日に食べたもの全てに ついて調査されており、この中で、生鮮の果物やジュース等加工品 の摂取量が集計されているんだ。 リン:それで、1人1日当たりの消費量はいくらなの? おじさん:生鮮果物やジュース、ジャム等加工品を含めた果実類では、 全体の平均で25年は1日112gとの結果になっているね。 リン:じゃあ、食料需給表の数値よりも実際は多く食べているんだ。 ミカ:リンったら。調査方法が違うんだから単に数値を比較することは できないよ! おじさんにもう少し詳しく聞いてからにしようよ。 おじさん:そうだねえ。両方の調査結果の数値を単純に比較することは できないんだ。 「国民健康・栄養調査」は、11月のある1日について調査したもの なので、その頃に出回っている果物は、春や夏とは随分と違いがあるよね。 また、食料需給表では、イチゴ、スイカ、メロンなどは野菜に分類され、 「果実」には含まれていないけど、国民健康・栄養調査では、イチゴ、 スイカ、メロンも「果物類」に含まれているね。 ミカ:加工品についても違うのかなあ。 おじさん:食料需給表では、ジュース等の加工品も生果に換算している けど、国民健康・栄養調査では換算はしないで摂取量そのものを合計 しているね。 リン:そのほかに特徴は無いの? おじさん:「国民健康・栄養調査」は、1人1人が実際に食べた食事内容を 調査しているので、男女別や年齢別の消費状況がわかるんだ。これはとても 貴重なデータなんだ。 ミカ:じゃあ果物の消費量は年齢などにより違いはあるの? おじさん:国民健康・栄養調査から果物の年齢別の平均摂取量を見て みると、20歳代、30歳代、40歳代の消費量が特に少ないんだ。 人間は成長によって食べる量は増えるんだけど、20歳代、30歳代、 40歳代は、リン太君と同じ年頃の7〜14歳の平均と比べても2〜3割も 少なくっている。今後は、20〜40歳代の働き盛り世代で果物の摂取量 を増やして食事バランスを改善することが特に重要だね。  果物は健康にも良いことは頭ではわかっていても、日常の食事では ついつい忘れがちになるので、意識して食べることが必要だね。 ミカ、リン:そうなんだ〜。私たちは大人になってもしっかりと果物を 食べようね。  日本のことは大体分かったけど、外国ではどうなの? ミカさん、リン太君の疑問は尽きない訳ですが、この続きは次回に。 ────────────────────────────── ■ 文献紹介:果物と野菜の摂取で心血管疾患などのリスクが低下  デンマーク、コペンハーゲン大学の研究チームは、果物と野菜の 摂取量が多い人は、心血管疾患と早期死亡リスクが低いと、「アメ リカ臨床栄養学雑誌」に発表しました。  研究では、デンマークに住む約十万人を対象に疾病リスクと、果 物と野菜の摂取量との関係を解析しました。  その結果、果物と野菜の摂取量が最も多いグループは、最も少な いグループと比較して、心血管疾患の発症リスクは13%低くなり、 早期死亡のリスクでは20%も低くなることが分かりました。また、 このリスクの低下効果は、果物と野菜に由来する血液中のビタミン C濃度と強い相関が認められました。  人の身体はビタミンCを合成することができないので食事からの 摂取が必要です。ビタミンCは、細胞や生体分子を保護し、身体の 異なる器官などを支える結合組織を合成する働きがあり、心血管疾 患を含む多くの疾病と関係することが知られています。  以上の結果から、果物と野菜の摂取量が多い食生活は、血液中の ビタミンCの濃度を長期にわたって高めるため、心血管疾患や早期 死亡のリスクを減らすと考えられました。 【文献】 Kobylecki, C.J. et al.: Genetically high plasma vitamin C, intake of fruit and vegetables, and risk of ischemic heart disease and all-cause mortality: a Mendelian randomization study. Am. J. Clin. Nutr., 101: 1135-1143. (2015) [doi: 10.3945/?ajcn.114.104497] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:お母さんの思ひ出(土田耕平)  店さきには、蜜柑やバナナが山のやうに積んであつて、柿なんか 見えなかつた。 「はい、これが二銭、この大きい方が五銭。」 と爺さんの指さす方を見ると、店の隅の方に、たんとはなかつたけ れど、うす皮の真赤に熟した柿が山盛にしてあつた。  私は大きい五銭のを一つえりとつて、氷のやうに冷たいやつを、 両手でつぶれないやうに握りしめて、駈かけてかへつた。  お母さんは、炬燵の上に庖丁とおこがしを、用意してゐた。おこ がしは柿へつけて食べるのだ。  お母さんは、柿を二つに切つて、大きい分を私の前において、 「さあ、お食べよ。」 と云つて、小さい方を自分で小口に食べながら、 「ああ、おいしいわね。」 と云つた笑顔が、電燈のかんかんしてゐる光にうつつて、うつくし く見えた。私もほんとにおいしかつたけれど、何とも云はなかつた。 熟柿(じゆくし)を食べてしまふと、すぐに読みさしの太閤記をひ らき、お母さんは縫物をはじめた。それから後のことは、おぼえて ゐない。もう二十年余りも昔のことだから。  お母さんは今は生きてはゐない。そして、一生不幸に過ぎた人だ といふことを今になつて、私はよく知つてゐる。だからあの時、幼 い私と、一つの熟柿を半分わけにして、いかにも、おいしさうにし て食べたお母さんの顔を思ひ出すと、何だか悲しくなつてならない。 半分わけにした大きい方を、お母さんにあげればよかつたに、など と考へるのだが、も早遠い昔のかへらぬ夢になつてしまつた。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、宇都宮市中央卸売市場に入荷している果物について紹介 します。入荷量が多いのはナシ、リンゴ、ブドウ、メロン、クリ、 バナナなどです。 ニホンナシ(幸水、豊水)は栃木、茨城産などです。 リンゴ(つがる)は青森、長野、山形産です。 ブドウ(デラウェア、巨峰、など)は山形、栃木、山梨産などです。 ウンシュウミカンは愛知、神奈川、佐賀、宮崎産などです。 カキ(刀根早生、など)は奈良産などです。 クリは栃木、茨城産などです。 メロン(アールス、など)は茨城産などです。 バナナ、パイナップルはフィリピン産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  現在、狩猟採集時代から現代までの食と健康の歴史を研究・解析 しています。医科学技術の進歩で、今までの考古学では分からなか ったことが、次々に明らかになっていく過程は大変興味深いもので す。また、WHO(世界保健機関)が、果物と野菜の摂取を推奨する 背景もよりよく理解できます。(tnk)  9月8日、消費者庁から、うんしゅうみかんの「三ヶ日みかん」につ いて機能性表示食品としての届出を受理したことが発表されました。 今秋から、生鮮果実に含まれるβ-クリプトキサンチンが骨の健康に 役立つことを表示して販売されることになります。昔から果物は健康 に良いとは言われていましたが、様々な健康効果が科学的に明らかに なりつつあり、今後さらに期待したいですね。(KM) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 Copyright(C) 2011-2015.  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