毎日くだもの200グラムメールマガジン □■ くだもの&健康ニュース Vol.187 ■◇ 2019年8月2日(金)配信 こんにちは! 今号では、糖質を含む果物が、他の糖質を含む食品と違い、なぜ健 康的なのかを解説しています。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ- >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:ブドウ ・ くだもの広場:さくらんぼ ・ 文献紹介:肥満につながる受動的過食とは ・ 文学の中の果物:植物記(牧野富太郎) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   ほしいまゝに葡萄取らしむ葡萄園     - 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:ブドウ ○ 葡萄・サーモン・チーズのパスタ  パスタを茹でる以外、まったく火を使わないので、暑いときは楽 です。いろいろな色のブドウを使うとカラフルです。 材料(2人分)  ブドウ(大粒で皮も食べられるもの) 12粒、スモークサーモン 60g、ブルーチーズ 30g、オリーブオイル 大さじ3杯、レモン 1/2 個、カッペリーニorスパゲッティ 200g、塩 適量、生バジル 6枚 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/5254133 ○ 鮃と葡萄のカルパッチョ  いつもの白身魚のカルパッチョ,季節の果物、ブドウと一緒にい ただきます。ブドウは薄くスライスしてつかいました。 材料(2人分)  ブドウ(ゴルビー、マスカットなど) 10粒、鮃の冊(白身魚の お造り) 1/4尾、イタリアンパセリ 少々、塩、こしょう、バルサ ミコ酢 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/3405048 ────────────────────────────── ■ くだもの広場:さくらんぼ おじさん:今年の梅雨は、例年に比べて極端に日照が少なく、また、  海の日を過ぎて梅雨明けしない長い梅雨だったけど、梅雨が明け たら、一気に真夏の暑い日が続くようになった。こんな時は、何  か、おいしい果物を食べて、少しでもさわやかな気分を味わい、  元気を出したいものだ。 リン:こんな時こそ、小さく赤い球がかわいくて、食べるのに便利  で、とっても美味しいさくらんぼを、冷蔵庫で冷やして食べると  いいと思います。 おじさん:そうだね、「梅雨」の時期や暑い夏に、さっぱりとした  甘みが魅力のさくらんぼはピッタリだね。いまでは、すっかりお  なじみのさくらんぼだけど、日本で本格的に栽培されるようにな  ったのは、明治の初めの頃、1874年、明治7年というから今  から150年ほど前に、国がフランス、アメリカから主要な品種  を輸入し、これを北海道や東北に配ったのが始まりだ。さくらん  ぼの品種で一番有名な佐藤錦は、1912年、明治45年、途中  から大正元年となった年に山形県東根市の佐藤栄助により育成さ  れた品種だ。もう100年以上、栽培されている品種だね。 ミカ:へえ~、すごいね。100年以上もずっと生産されているん  だ。ところで、さくらんぼは、どこが一番たくさん生産している  のかな。 おじさん:さくらんぼといえば、山形県だね。平成29年産でいう  と、全国の収穫量は19,100トン、このうち14,500ト  ンが山形県で、全体の75%を生産している。第2位が北海道で  1,520トン、第3位が山梨県で1,170トンとなっていて、  この上位3県で9割を生産している。この第1位の山形県では、  佐藤錦が栽培面積の7割程度となっていて、育成から100年以  上たった品種が断然、第一位となっている。今は、さまざまな品  種が育成され、生産量第1位の山形県では、早生品種の紅さやか、  晩生品種の紅秀峰を自県で育成し、収穫時期をリレーできるよう  に工夫している。紅さやか、紅秀峰とも、1991年に品種登録  された品種なので品種登録から、すでに30年近く経つけど、や  っぱり、慣れ親しんだ味は根強いものがあるということかもしれ  ないね。 リン:ちなみに、収穫量が19,100トンっていうことだけど、  どんな果物と同じくらいの収穫量なのかな。さくらんぼは、小さ  く赤い球が目立って、スーパーやデパートでも、すごくたくさん  見るように思うけど。 おじさん:果物の収穫量などをまとめた農林水産省の統計資料(平  成29年産)を見てみると、ちょうど同じくらいの収穫量の果物  は、すももで19,700トンとなっていて、山梨県と長野県が  主産県で両県で40%を生産している。もう少し収穫量は多くな  るけど、西洋なしが29,100トンで、西洋なしの収穫量第1  位は、さくらんぼと同じ山形県で18,800トン、全体の65  %を生産しているよ。さくらんぼも、西洋なしも、山形県の代表  的な果物ということになるね。 ミカ:なるほど、日本全国で、それぞれ地域の特徴を生かしながら、  一番おいしい果物がたくさん生産されていて、私たちは、一年中、  日本全国にどこにいても、美味しい果物が食べられるということ  ね。 ────────────────────────────── ■ 文献紹介:肥満につながる受動的過食とは  果物&健康ニュースでは、「WHOの糖質制限の勧告には果物は含ま れていない」、「糖尿病でも果物の摂取は必要」と解説してきまし た。このことについて、読者から連続して、「糖質を含む果物は、 なぜ他の糖質を含む食品と違うのか?」との質問を受けました。そ こで、今回は、急速に進展している脳科学の研究を通じて、果物が 他の食品と違う理由を紹介します。  カナダ、ヨーク大学の研究者キャロライン・デイビスは、高度に 加工されている「美味しい」食品を食べると、脳内にドーパミンが 大量に放出され、脳がハイジャックされて肥満になると、「ISRN肥 満」に解説しています。この症状を受動的過食による「食品中毒」 と名付けています。  近年、摂食行動の心理生物学的側面に関する研究が進展し、全粒 穀類や果物、野菜など自然に近い食品を摂取していると、私たちの 食欲は安定し、体格指数(BMI)は、健康的な範囲にありますが、 ファーストフードやソフトドリンクなど高度に加工した「美味し い」食品を摂取していると、受動的に過食になり、深刻な肥満を導 くことが分かりました。  動物やヒトを対象とした脳科学の臨床研究から、こうした慢性的 な過食は、「薬物乱用」との間に多くの類似点が明らかとなってき ました。こうした証拠から、、「美味しい」加工食品への依存は中 毒障害として認識されるようになりました。  中脳のドーパミン神経回路がアルコール、精神運動刺激薬、ニコ チンのような中毒性の薬の強化特性を調節することが知られていま した。ところが驚くべきことに、ここ数十年の研究から、高度に加 工した「美味しい」食品を摂取した場合も同じ神経経路が利用され、 ドーパミンが急速に増加することが分かりました。同時に、「美味 しい」加工食品会社のマーケティング力は、消費行動を強く誘導し ていることも分かりました。  高度に加工された「美味しい」食品の対極は、先史時代の人々が 食べていた果物や野菜などエネルギーの低い自然に近い食品です。 そのため、果物は高度に加工された食品と区別され、健康的な食品 に分類されます。 【文献】 Davis, C.:From passive overeating to "food addiction": a spectrum of compulsion and severity. ISRN Obes., 2013: 435027. (2013) [doi: 10.1155/2013/435027] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:植物記(牧野富太郎) ブドウ(葡萄)  我が日本では昔からブドウを作っていた。これはもと外国(多分 支那)から来たもので元来我が邦にあったのではない。彼の甲州ブ ドウが伝説にあるように、神社の路傍で偶然その野生品を見付けた と書いてあっても、これは固(もと)より日本野生のものではない。 何処からか来ていたものが、偶(たまた)まそこに生えていたのに 過ぎないのである。  今日では外国から種々の品種が取寄せられているので、世間で変 った品が多く見られる事は昔日の比ではない。従ってその葉の状態 や実の形状もいろいろある。  支那でも葡萄は同国に産したのではなく昔は無かった。漢の時代 に張騫(ちょうけん)という人が西域に使しその地からその種子を 携えて帰りそれを支那へ伝えたから、同国でも次第にそれが拡まっ たのである。しかし同国の西の方の遠い辺鄙の地には既にそれ以前 からこれがあったという事である。  しからばブドウの原産地は何処であるかと繹(たず)ぬると、そ れは蓋(けだ)し欧洲の東南部から印度の西部にかけたその間の地 がその本国であろうと学者達は言っている。そしてこのブドウの学 名は Vitis vinifera L. である。  和名のブドウは葡萄の字音から来たものであるが、しかし支那で は葡萄の古名は蒲桃であった(熱国に蒲桃すなわちフトモモという 常緑樹があるが、無論それではない)。支那の学者は葡萄について 次のように言っている。すなわち「葡萄に蒲桃と書いてある。これ で酒が造られる。人がこれを※(うたげ、※は酉+甫)飲すると陶 然として酔うのでそれでこの名がある。その実の円い者を草竜珠 といい、長い者を馬乳葡萄といい、白い者を水晶葡萄といい、黒 い者を紫葡萄という」とこれである。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、松山市中央卸売市場に入荷している果物を紹介します。 入荷量が多いのは、モモ、メロン、スイカ、バナナなどです。スイ カやミカンは地元、鹿児島産です。 [旬の果物と産地] ウンシュウミカン 愛媛産です。レモンの入荷しています。 リンゴ(ジョナゴールド、ふじ)は青森産です。 ニホンナシ(幸水)は徳島、熊本、愛媛産です。 モモ(白鳳、川中島桃)は山梨、愛媛産です。 ブドウ(デラウェア、巨峰、ピオーネ、マスカット・ベリーA)は 香川、熊本、福岡産です。 メロン(アールス、アンデス、など)は愛知、熊本、高知、山形、 青森産です。 スイカは愛媛、山形、長野産です。 バナナはフィリピン、エクアドル産です。 キウイフルーツはニュージーランド産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  果物関係者にも、「機能性成分があるにしても果物は糖質を含む のにどうして健康的なのか?」の疑問があることが分かりました。 21世紀に入り、健康的な食品とは、どんな成分を含むかではなく、 どんな食品をどれくらい食べているかが、とても重要であることが 明らかとなりました。「果物は健康的な食品」であることの証拠を これからも紹介します。(tnk)  いよいよ、長かった梅雨も明けました。梅雨明けと同時に猛暑が 到来しました。「梅雨明け十日」の言葉もあるとおり、梅雨明け直 後が天候も安定しますが、暑さも厳しい時期となります。熱中症対 策などを十分にして暑い夏を乗り切りましょう。  なお、次回の配信は8月30日を予定しております。(EK) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2019.  Kudamono & Kenko News 無断での転載、複製等はお断りします。ご協力に感謝いたします。 ────────────────────────────── ▽ 「読者から」欄への投稿方法  「読者から」欄への投稿は、下記のサイトからです。皆様からの 果物にまつわる思い出、食べ方の工夫、メルマガへのご意見、ご感 想など、楽しいお話をお待ちしています。  メールの件名は「投稿」としていただき、メルマガネームを記載 していただければ幸いです(例:りんごちゃん)。  また、本メルマガの転載依頼もこのサイトをご利用ください。件 名は「転載申し込み」でお願いします。 くだもの&健康ニュースへの投稿アドレスは下記です。 kudamononews@kudamono200.or.jp ────────────────────────────── ▽メルマガのバックナンバーは、下記に掲載しています。 http://a.hml.jp/bm/p/bn/list.php?i=hm020254&no=all http://www.japanfruit.jp/consumption/mailmagazine.html ────────────────────────────── ▽メールマガジンの配信登録・解除等は下記です。 http://a.hml.jp/bm/p/f/tf.php?id=hm020254 ──────────────────────────────