毎日くだもの200グラムメールマガジン □■ くだもの&健康ニュース Vol.181 ■◇ 2019年5月10日(金)配信 こんにちは! 果物など食事由来のビタミンには加齢性白内障に効果あり、しかし、 サプリメントでは効果なしです。その理由は文献紹介に。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ- >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:スイカ ・ くだもの広場:「30年度果物の消費に関する調査」(連載第2回) ・ 文献紹介:加齢性白内障に食事由来成分には予防効果あり、        サプリメントにはなし ・ 文学の中の果物:西瓜―徳川時代から明治初年へかけて          (牧野富太郎) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   世の中は恋繁しゑやかくしあらば梅の花にもならましものを     - (万葉集:梅の花)豊後守大伴       (とよのみちのしりのかみおほともの) -  世の中、恋に苦しむことが多い。それならいっそ梅の花にでもな ってしまいたいものです。太宰府の大伴旅人の宴席で歌われた32 首の一つ。 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:スイカ ○ 和風スイカの冷やしパスタ&おまけの浅漬け  さっぱりと食べられる、和風のスイカパスタです。 余った皮も、簡単浅漬けにして、スイカを満喫します。 材料(1人分)  スイカ 正味80g、スパゲッティ 70g、はちみつ、レモン汁、オ リーブオイル、カッテージチーズ、大葉、スイカの皮(白い部分) 正味100g、など。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/605599 ○ スイカ・フェタ・ブルスケッタ  スイカを使って爽やかなイタリアンの前菜はいかが? 材料(16人分)  スイカ(サイコロ状にカットしたもの) カップ2杯、オリーブ オイル 大さじ3杯、フェタチーズ(細かいサイコロ状にカットし たもの) カップ1杯、フレッシュチャイブ(みじん切り) 大さじ2 杯、フレッシュミント(みじん切り) 大さじ2杯、バルサミコ酢、 にんにく、など。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/3983505 ────────────────────────────── ■ くだもの広場:「30年度果物の消費に関する調査」(連載第2回) 中央果実協会が毎年行っている「果物の消費に関する調査」の30年  度の結果について、今号から概要を紹介していきます。 リン:おじさん、前回は果物の消費に関する調査の結果を紹介しても  らえなかったけれど、今日はちゃんと紹介してね。 おじさん:わかったよ。では早速調査結果についての説明を始めるこ  とにしようか。  まず、日本人の果物摂取状況からみていこう。ミカさんやリン太く  んは毎日果物を食べていると思うけれど、調査結果によれば「果物  をほぼ毎日摂取している」という人は26%だったんだ。昨年の調査  結果より1ポイント増えたけれど、それでも4人のうち3人は果物を  毎日は食べていないということになるね。でも、男女別に見ると  女性ではほぼ毎日果物を食べている人が31%と男性を10ポイントも  上回っているんだよ。この傾向は昨年と同じだね。 ミカ:厚生労働省の「国民健康・栄養調査」では、20代~40代の果物  消費量がとても少ないということだけれど、年代別にはどんな結果  だったのかしら? おじさん:やはり、60代の人たちの方が果物をよく食べているようだよ。  60代ではほぼ毎日果物を食べている人は44%と全世代の平均値を20  ポイント近く上回っているんだ。逆に若い年齢層ほど果物を食べる  頻度が少ないという状態が続いているんだね。   次に、1日平均の果物摂取量についてみてみよう。平均で200g以上  摂取している人の割合は全体では16%で、昨年よりも3ポイント増えて  いるね。男女別には、摂取頻度とは逆に200g以上食べている人の割  合は男性がわずかに女性を上回っているんだよ。 ミカ:1日平均の果物摂取量があまり多くないということは残念ね。  でも、なぜ果物の摂取量が増えないのかしら? おじさん:うん、1日の果物摂取量が現状程度である理由については  「一度にそんなに量を食べられないから」という回答が全体の43%に  なっているね。僅かな差で「他に食べる食品があるから」「値段が  高く食費に余裕がないから」という回答が続いているんだ。 リン:去年も同じような理由だったような気がするけど・・・。 おじさん:そうだね。順番は少し変わったけれど、上位の理由は昨年と  ほとんど同じなんだよ。 ミカ:毎日果物200グラムといっても、一度に200g食べなければいけない  ということではなく、何度かに分けて食べても構わないのにね。 リン:そうだよ。僕なんか毎食果物を食べているんだよ。 ミカ:あらっ、私が知らないところでも果物を食べているの?どうりで  買い置きしている果物がすぐになくなるはずだわ。 リン:いけない!自分で秘密をばらしちゃった! ────────────────────────────── ■ 文献紹介:加齢性白内障に食事由来成分には予防効果あり、        サプリメントにはなし  世界中の高齢者の間で、視力障害の主な原因の一つに、加齢性白 内障があります。白内障摘出手術は、視野の回復に有効な手法です が、2020年までにその医療費は57億ドル以上に上ると予測されてい ます。  しかし、加齢性白内障の発症を10年遅らせることができれば、手 術を必要とする人は約半数に減らせると推定されています。  こうした背景の下で中国・西安交通大学とオーストラリア・南豪 州大学の研究チームは、加齢性白内障の予防について研究を行った 結果、食事由来のビタミンやカロテノイドの摂取量が多いと、加齢 性白内障のリスクを下げることが出来ると、「アメリカ臨床栄養学 雑誌」に発表しました。一方で、サプリメントの摂取では予防効果 は認められませんでした。  これまでの研究において、カンキツ類やニンジンなどの果物や野 菜の摂取が多いと加齢性白内障の発症を予防できるとする研究結果 が蓄積してしました。  今回の研究では、世界中から収集された20件の介入研究とコホー ト研究から、食事に含まれているビタミンやカロテノイドの摂取量 と白内障発症との関連性を検討しました。  その結果、食事由来のビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、βカ ロテン、ルテイン、ゼアキサンチンには、加齢性白内障のリスク低 下と有意な関連が認められました。  一方、ビタミンEとβカロテンのサプリメントを投与した介入試 験では、加齢性白内障のリスクとは無関係でした。  なぜ、食事由来では効果があり、サプリメントでは効果がないの かについての研究も進められています。こうした研究から、予防や 健康の維持・増進には、生体内の代謝成分間の相互作用などが深く 関係しているため、様々な成分を含む食事からの摂取が大切なこと が明らかとなってきました。  一方、サプリメントでの摂取では、生体内の代謝(相互作用)を 乱すため、効果がないか、場合によっては有害な結果となると考え られています。  厚生労働省の調査などから、近年、食事由来のビタミン類の摂取 量が減少しており、推奨量を下回っていることが明らかとなってき ています。こうした現状を改善するために、アメリカ国立心肺・ 肺・血液研究所や国立衛生研究所などによって開発された、ビタミ ンやミネラルを多く含む果物や野菜中心のダッシュ(DASH)ダイエ ットが推奨されています。ダッシュダイエットでは、果物を毎日、 4~5サービングの摂取を勧めています。毎日、ミカンなら5個、 リンゴなら2個半です。 【文献】 Jiang, H. et al.: Dietary vitamin and carotenoid intake and risk of age-related cataract. Am. J. Clin. Nutr., 109: 43-54. (2019) [doi: 10.1093/ajcn/nqy270] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:西瓜―徳川時代から明治初年へかけて           (牧野富太郎)  スイカの中国名は西瓜で、その学名は Citrullus vulgaris Schrad. である。我国でつくられる瓜類の中で特にその葉が細裂してい るので、直ぐに他の瓜類とは見分けがつく。熱帯地方ならびに南ア フリカ地方の原産で俗に Watermelon と呼ばれる。  スイカは水瓜の意ではなく、西瓜の唐音から来たものであること が寺島良安(てらじまりょうあん)の『倭漢三才図会(わかんさん さいずえ)』に出ている。そうしてみると、この水々しい瓜でも上 のように水瓜の意味ではないことが分かる。  白井光太郎博士の『植物渡来考』に『長崎両面鏡(ながさきりょ うめんかがみ)』を引いて「天正七年に西瓜南瓜の種来る」と書い てある。しかるに御小松院の時の人、僧の義堂の詠じた詩でみれば、 なおその前に西瓜があったことになる。そしてその詩は「西瓜今見 ル生ルコトヲ二東海ニ一剖破スレバ含ム二玉露ノ濃ナルヲ一」であ る。貝原益軒の『大和本草』によれば、スイカは寛永年中に初めて 異国から来たとある。寺島良安の『倭漢三才図会』には西瓜は慶安 年中に黄檗の隠元が入朝の時、西瓜、扁豆(インゲンマメ)等の種 子を携えてきて初めてこれを長崎に種(う)えたとある。すなわち 上の寛永よりは少し後ちである。そして右のインゲンマメは Dolichos Lablab L. を指している。すなわちこれが隠元携帯の本当のインゲ ンマメである。今日いう Phaseolus vulgaris L. のインゲンマメは 隠元とは無関係の贋のインゲンマメであって、隠元の名を冒してい るものであることを承知していなければならない。『大言海』には この新旧二つのインゲンマメを一種の下に混説してあって、明かに その正鵠を失している。大槻先生にも似合わないことだ。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、名古屋市中央卸売市場本場に入荷している果物を紹介し ます。入荷量が多いのは、リンゴ、メロン、スイカ、バナナ、パイ ナップルなどです。 [旬の果物と産地] 甘ナツミカン、ウンシュウミカンは愛知産です。 ネーブルオレンジ、レモンはアメリカ産です。 リンゴ(ふじ)は青森産です。 ビワは鹿児島、長崎産です。 サクランボ(佐藤錦)は山形産です。 ブドウ(デラウェア) 島根産です。 メロン(アールス、アンデス、クインシー、ホームラン、など)は 静岡、高知、愛知、熊本産です。 スイカは熊本産です。 バナナ、パイナップルはフィリピン産です。 キウイフルーツはニュージーランド産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  医科学の進歩は著しく、平成ではエビデンスがあれば良かったか もしれませんが、令和ではエビデンスの質(評価)が問われると思 います。本メルマガでは、評価に耐えられる最新の情報を今後も提 供していきたいと考えています。よろしくお願いします。(tnk)  長い連休も終わり、実質的な令和の時代が始まりました。昭和天皇 の崩御により重苦しい自粛ムードで始まった平成と違い、令和は明る い雰囲気で始まったので、災害の少ない年が続いてほしいと願ってい ます。果物の生産現場にとってもよい時代となってほしいものです。(HK) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2019.  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