毎日くだもの200グラムメールマガジン □■ くだもの&健康ニュース Vol.167 ■◇ 2018年10月19日(金)配信 こんにちは。 今号では、生活習慣病になりやすい遺伝子があっても、果物などが 豊富な食事で、発症を防げるか、遅らせることが出来る証拠を紹介 しています。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ− >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:ミカン ・ 文献紹介:果物と野菜が豊富な食事で心血管疾患リスク遺伝子の発現を抑制 ・ 文献紹介:果物などが豊富な健康的な食事は長寿遺伝子を健康的にする ・ 文学の中の果物:打出の小槌(外村繁) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   十月の海は凪いだり蜜柑船     − 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:ミカン ○ しらすとみかんの和風パスタ  あっさり、さっぱり、けれどほっこり。 材料(1人分)  ミカンの皮 お好みの量、しらす 50g、酢昆布 15g、カイワレ 適 量、しいたけ 2個、オリーブオイル 大さじ2杯、薄口醤油 大さじ1杯 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/2469265 ○ 豚肉とアスパラ・茄子の蜜柑缶煮込み  ミカン缶で煮込むと、豚肉が柔らかくなるんです。 材料(2人分)  ミカン缶 1缶、トンカツ用豚肉(厚切り) 2枚、アスパラ 1 束、茄子 1本、塩胡椒、サラダ油、コンソメ醤油 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/3743395 ────────────────────────────── ■ 文献紹介:果物と野菜が豊富な食事で心血管疾患リスク遺伝子の発現を抑制  生活習慣病予防の理論が、「単一(あるいは複数)の栄養素欠 乏」説から、総合的な食事パターンに基づく「遺伝子−栄養素−食 品間の相互作用」に転換したことと、果物と野菜中心の地中海式食 事やDASH食の有用性について前号で紹介しました。今回は、その理 論を裏づける具体的な研究を紹介します。  カナダ、マッギール大学などの国際共同研究チームは、心臓疾患 のリスクを増大させる特定の遺伝的変異がある場合、食事で心臓発 作のリスクを減らすことが出来るかについて調べました。  研究では、ヨーロッパ人、南アジア人、中国人、ラテンアメリカ 人、アラブ人の5つの民族を対象とした心臓発作の潜在的リスク要 因を調査した世界的な研究(INTERHEART)を用いて遺伝子と食事と の相互作用を解析しました。  すでに、心血管疾患のリスクの増加に関連する遺伝的変異が同定 されていました。これらの領域の1つは、9p21と呼ばれる染色体領 域にあります。  研究では、染色体9p21領域内の4つの異なる遺伝子変異(一塩基 多型)を用いて、心臓発作を起こした3,820人と、4,294人の健常者 を対照として食事要因との相互作用を調べました。試験された4つ の遺伝子変異を持つ人は、心臓発作のリスクが約5倍高いことが知 られています。  具体的には、rs2383206と呼ばれる特定の遺伝子変異体を持って いて、果物や野菜の摂取量が少ない人は、遺伝子変異体を持たない 人よりも心臓発作のリスクが高くなりました。しかし、rs2383206 遺伝子を持つ人でも、果物と野菜を沢山摂取すると、心臓発作リス クは変異体を持たない人と同じになりました。さらに、遺伝子リス クがある人では、果物や野菜の摂取量が多い人ほど、心臓発作のリ スクが低くなりました。この果物と野菜の効果は、身体活動レベル または喫煙の影響を受けず、独立して効果を発揮することが分かり ました。  この研究結果は、心臓発作の引き金となる遺伝的危険因子を持つ 人でも、果物や野菜の摂取量を増やすと遺伝的なリスクを避けられ る、あるいは減少させることができることを示しています。また、 健康の維持・増進のために推奨されている果物と野菜を毎日5サー ビング以上摂取する勧告を支持する結果であると研究者らは述べて います。 【文献】 Do,, R. et al.: The effect of chromosome 9p21 variants on cardiovascular disease may be modified by dietary intake: evidence from a case/control and a prospective study. PLoS Med., e1001106. (2011) [doi: 10.1371/journal.pmed.1001106] ─────────────────────── ■ 文献紹介:果物などが豊富な健康的な食事は長寿遺伝子を健康的にする  2009年のノーベル医学生理学賞は、「寿命のカギを握るテロメア とテロメラーゼ酵素の仕組みの発見」に与えられました。ノーベル 賞の歴史上初めて受賞者3人中2人が女性でした。テロメアは、染 色体の末端に付いている遺伝子で、テロメアが短いと病気にかかり やすいことが明らかとなってきました。  イギリスで行われた中高年の男女1500人を対象にした研究では、 テロメアが最も短いグループは、5年以内に心臓病を発症する確率 が、テロメアが最も長いグループの2倍でした。その理由として、 テロメアが短いと動脈壁の損傷部分の細胞の修復を妨げているので はないかと考えられています。  こうした背景をもとに、アメリカ、ミシガン大学の研究チームは、 食事パターンとテロメア遺伝子との相互作用を調べました。その結 果、果物、野菜、全粒穀物が豊富で、糖分、塩分、加工肉の少ない 食事は、女性のテロメア遺伝子を健康に保つと、「アメリカ疫学雑 誌」に発表しました。  研究チームは、健康な成人4,758人(20〜65歳)を対象に、4つの 科学的根拠に基づく食事スコア(地中海式食事スコア、DASH食スコ ア、アメリカ農務省が開発したHEI2010スコア、ハーバード大学が 開発したAHEI2010スコア)を用いてテロメア遺伝子との相互作用を 調査しました。  その結果、どの食事方式を用いても、高スコアの女性は、寿命と 関係する細胞の核にあるテロメア遺伝子が統計的に有意に長いこと が分かりました。  4つの食事パターンに共通しているのは、果物、野菜、全粒穀物、 植物性タンパク質が豊富で、糖分、塩分、赤肉、加工肉を制限して いることでした。  健康的な食事パターンの共通点は、還元性の高い成分を多く含み 抗炎症の食事が、テロメア遺伝子の維持に有利な生化学的環境を作 り出していると考えられました。  以上の結果は、最適な栄養と寿命との複雑な関係解明について遺 伝子レベルで客観的で総合的な判定ができることを示唆しています。 なお、男性にも同様の傾向はみられたものの、統計的には有意では ないため、さらなる研究が求められています。 【文献】 Leung, C.W. et al.: Diet Quality Indices and Leukocyte Telomere Length Among Healthy US Adults: Data From the National Health and Nutrition Examination Survey, 1999-2002. Am. J. Epidemiol., 187: 2192-2201. (2018) [doi: 10.1093/aje/kwy124] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:打出の小槌(外村繁)  ――私の三男は家中の愛嬌者である。渾名は「たゆ」又は「安 福」と言ふ。「たゆ」と言ふのは、彼の申年の「さる」が言へない ので、「たゆ」。「安福」と言ふのは、私の郷里の村に安福寺とい う禅寺があり、ある夏、私達が帰省してゐた時、真宗である私の家 とは日頃何の附合もない、その安福寺へ「たゆ」は単身遊びに行き、 その上、両手に一杯お菓子を貰つて帰つて来たことがあつた。丁度 その時やはり帰省してゐた私の弟が、その様を見て、 「たゆの安福さんや」と言ひながら、たうとう笑ひ転げてしまつた のであつた。それ以来「たゆ」は「安福」とも言はれるやうになり、 またさういふ風なことをすることを「安福」と言ふやうになつた。 「たゆ」は実にこの「安福」の名人で困る。私が往来など歩いてゐ ると、時には思ひも寄らぬ家の二階から、聞き覚えのある黄色い声 で、 「と、お、ちやん」と呼ぶ。驚いて見上げると、果して「たゆ」が 会心の笑を浮かべて顔を覗かせてゐるのである。今年の正月も昼御 飯になつても彼だけ帰つて来なかつた。家内や長男が心当りを一一 探してみたがゐない。毎日のやうに遊びに行く隣家には、その隣家 の子供達が表で皆揃つて遊んでゐるので、よもや行つてはゐないで あらう。私も加はつて探しあぐんでゐると、隣家の子供の一人が、 「洋ちやん、何だか自家らしいよ」と言ふので、私は不思議に思ひ ながら、隣家を尋ねてみた。するとどうだらう。「たゆ」はお隣の 小父さんの膝に乗つて、炬燵に当りながら、蜜柑や煎餅や菓子など を貰つて「大安福」の最中なのであつた。このやうに「たゆ」の 「安福」の例は限がない。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、沖縄県中央卸売市場に入荷している果物について紹介し ます。入荷量が多いのは、ミカン、リンゴ、カキ、バナナ、パイナ ップルなどです。 ウンシュウミカンは佐賀、熊本、鹿児島産です。 バレンシアオレンジ、グレープフルーツは南アフリカ産です。 リンゴ(ふじ、など)は青森産です。 ニホンナシ(新高、など)は福岡産です。 カキ(平核無、など)は和歌山産です。 ブドウ(巨峰、など)は長野産です。 メロン(アールス、ハネジュ、など)は熊本、アメリカ産などです。 バナナはフィリピン産です。 パイナップルはフィリピン、沖縄産です。 キウイフルーツはニュージーランド産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  21世紀に入り、食事と健康に関する研究が進展し、コペルニクス 的とも称せられている転換が起きていますが、メデイアなどに登場 している「専門家」の意識は古いままです。そうした現状を反映し てか、食料自給力では、果物は隅に追いやられているように感じま す。がんばっていきましょう。(tnk)  先週、東京農業大学で果物と健康の歴史をテーマとしたセミナー を開催したところ、100人以上の学生さんが熱心に聴講されました。 日本では20代〜40代の果物摂取量が非常に少ないという特徴があり ますが、若い方々が果物と健康に関心を持って積極的に果物を食べる ようになってほしいですね。(HK) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2018.  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