毎日くだもの200グラムメールマガジン □■ くだもの&健康ニュース Vol.163 ■◇ 2018年8月24日(金)配信 こんにちは。 今号では、肉食によるヒト進化説に対する反論を紹介しています。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ− >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:リンゴ ・ くだもの広場:果物とお菓子 ・ 文献紹介:炭水化物の摂取で人類が進化した ・ 文学の中の果物:『ケプロン・黒田の構想』について(中谷宇吉郎) ・ くだものいちば ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   はたこ屋に林檎くふ也蚊帳の中     − 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:リンゴ ○ キャベツと林檎とパスタのサラダ  シンプルで簡単なのに、うっすら甘じょっぱい味が、食べだすと 止まらない主食にもなっちゃうサラダです。 材料(たっぷり4人分)  リンゴ 1個、キャベツ 中玉1/3〜1/2個、パスタ(マカロニなど) 100g、マヨネーズ、コショウ 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/4804598 ○ サックサク!ドイツの揚げりんご♪  サクサクの衣、香り高いシナモンシュガー、リンゴの酸味のハー モニー  一個だけ食べるなんて無理! アイスを添えれば豪華デザート 材料(4人分)  リンゴ 4〜6個、粉(グルテンフリーの粉でも、小麦粉でもオッ ケー) 200g、ビール又は炭酸水 250ml、卵 2個、砂糖、塩、揚油、 シナモンシュガー 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/3633410 ────────────────────────────── ■ くだもの広場:果物とお菓子 おじさん:前回は果物と野菜の違いについて説明したけれど、今日は  果物とお菓子について説明しようか。  二人は「水菓子」といったらどんな食べ物だと思うかな? リン:水ようかんやくずもちのような水分が多いお菓子かな。 ミカ:そうね、私もそうだと思うわ。 おじさん:実は、本来は「水菓子」というのは果物のことを指す言葉  なんだよ。ただし、一部の業界ではリン太くんが言った水ようかん  などを「水菓子」と呼ぶこともあるけれどね。 リン:なぜ果物のことを「水菓子」というの? おじさん:昔は「くだもの」も「菓子」も、「正式な食事以外の軽い  食べ物」全般を指していたんだ。つまり、「くだもの」と「菓子」  は、もともと同じ意味を持っていたんだよ。そもそも「菓」という  文字は中国では果実を意味する文字なんだそうだ。果物のことを  中国語では「水果」というんだよ。歴史的にみると、平安時代に唐  から「唐菓子(からかし)・唐果物(からくだもの)」という食べ  物が日本に持ち込まれ、室町時代には日本独自の様々な甘みが考案  されるようになって、軽食やおやつ全般を「くだもの・菓子」と呼  ぶようになったということなんだ。 ミカ:それでは、昔は甘くないお酒のつまみなども「くだもの・菓子」  と呼んでいたの? おじさん:そうだろうね。ところが、江戸時代頃になると、少し意味  が変わってきたんだ。「菓子」という言葉は、果実のような自然の  もの、手を加えずにそのまま食べられるものではなく、人が手を加  えて甘く作った食べ物のことだけを指すようになってきたそうだよ。  一方、果実については、上方では「くだもの」、江戸では「水菓子」  という言葉が使われるようになったということなんだ。いまでは  「水菓子」という言葉はあまり使われず、「くだもの」という言葉  が一般的になっているよね。でも、少し高級な日本食のお店に行く  と、コース料理のお品書きにデザートの果物のことを「水菓子」と  書いているところが多いね。考えてみれば、果物は全般的にとても  水分が多い食品だから、「水菓子」という呼び方も理にかなってい  るといえるかもしれないね。 ミカ:そうなのね。でも、今では果物はフルーツサラダなど、「正式  な食事」のメニューになることもあるから、「水菓子」という言葉  は少し限定的な感じがして違和感があるわ。 おじさん:はははっ。言葉は時代とともに変わっていくものだから、  ミカさんのような感覚もわからないことはないね。「お菓子」の中  でも、ポテトチップやせんべいのようなものは「スナック」、ケー  キや和菓子などは「スイーツ」と使い分けることもあるからね。 リン:僕は果物もスナックもスイーツも全部好きだよ。でも、やっぱ  り果物が一番かな。 ─────────────────────── ■ 文献紹介:炭水化物の摂取で人類が進化した  糖やデンプンを含む果物や穀類を避け、タンパク質や脂肪の多い 肉食中心の食事が流行しています。すでに本メルマガでは、炭水化 物の摂取を制限すると、栄養欠乏や食物繊維不足などになり、口臭、 頭痛、便秘などの問題を引き起こすことを紹介してきました。  一方、肉中心の食事を進める科学的根拠に、進化の過程で肉を食 べるようになって脳が大きくなりヒトとなったことから、肉食はヒ トに適応しているとしています。しかし、最近の研究から、肉中心 の食事説では、進化を説明できないことが明らかとなってきました。  オーストラリア、シドニー大学などの国際研究チームは、火を使 ってデンプン食品を料理したことが、ヒトの脳の進化の主要な要因 であると「季刊生物学レビュー誌」に発表しました。約80万年前の ヒトの脳の大きさの増大は、デンプン食品を調理することで増加し た糖が、ヒトの脳の成長を引き起こしたと、研究者は述べています。  肥満や食生活に関連する生活習慣病疾患の世界的な増加は、文明 病と考えられることから旧石器時代の食事などに関心が集まってい ます。  デンプンは、塊茎などに含まれているのでヒトの祖先が容易に利 用できました。生デンプンはヒトではほとんど消化されませんが、 調理すると結晶構造が失われて消化が容易になります。このことか らヒトの進化過程における料理の出現は画期的な出来事であったと 考えられています。  デンプンを分解する唾液アミラーゼ遺伝子は、ヒトでは多くのコ ピー(平均:6)が存在していますが、他の霊長類では2コピーしか 存在していません。唾液アミラーゼの量が増えると、デンプンを消 化する能力も向上します。唾液アミラーゼ遺伝子が増えた正確な時 期はまだ不明ですが、遺伝的な証拠によると、過去100万年のある時 点であったと考えられています。この時期は、調理が一般的な生活 習慣となった時期とほぼ同じです。  脳の発達には、大量のブドウ糖が必要で、低炭水化物食(肉食) では、その量を満たすことは出来ません。なぜならヒトの脳は、身 体のエネルギーの25%、血糖(ブドウ糖)の60%を必要とするから です。  妊娠と授乳時には、子どものためにブドウ糖が必要であり、母体 の血糖値が低下すると母親と子どもの健康が損なわれてしまいます。  以上の結果から、糖やデンプンなどの炭水化物から得られるエネ ルギーがなければ脳の成長は起こらないと、研究者らは結論づけま した。 【文献】 Hardy, K. et al.: THE IMPORTANCE OF DIETARY CARBOHYDRATE IN HUMAN EVOLUTION. Q. Rev. Biol., 90: 251-68. (2015) ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:『ケプロン・黒田の構想』について(中谷宇吉郎)  後の黒田長官は、明治三年(一八七〇年)に北海道開拓次官に任 命されたが、彼は、当時の日本の三分の一に当る、この広漠かつ未 開の土地の開発に、まったく新しい構想をたてた。それは範をアメ リカの開発に求めたことである。・・・  この若い政治家は、ときの大統領グラントに会い、自分の構想を 打ち明け、しかるべき人の推挙を頼んだ。そのときグラントは、ま ことに驚くべき人を推薦した。それはときの米国農務省総裁のホー レス・ケプロンであった。・・・  ケプロンは、調査を進めると同時に、開発に一番必要なのは、人 間である点を強調し、人材養成の機関として、学校の設立を要望し た。いつまでも外国人技術者にたよっていることはできないから、 当然な話である。黒田長官は直ちに、この案をとり上げ、ケプロン 来任の翌年、明治五年(一八七二年)に、東京に開拓使仮学校を創 立した。これが今日の北海道大学の前身である。  調査が進行するにつれて、開発の構想も、次第に具体化してきた。 この開発の一つの眼目は、多数の人間を内地から移住させて、北海 道を日本領土として確保する点にあった。それで一番重視したのは 農業であるが、これには、内地流の米作本位をやめて、アメリカ式 の酪農を採り入れる方針をたてた。  水田米作をしないとすると、果樹や野菜の栽培にも力を入れる必 要がある。この方面を受けもったのがベーマーであって、今日の北 海道林檎はもちろんのこと、青森林檎も、彼の恩恵を受けている。 林檎栽培は現在かなり重要な産業になっているが、おもしろいこと には、北海道の林檎の種類には、今日でも、六号とか四十九号とか いう名前がついていて、番号で呼ばれている。これは輸入番号であ って、一号からずっとつづいていたのであるが、そのうち北海道の 風土に適したものが、生き残ったのである。・・・  ケプロンのまいた種が、もっとも実を結んだのは、現在の北海道 大学である。彼の献策によってつくられた開拓使仮学校は、四年後 の明治八年(一八七五年)に本来の目的地である札幌へ移転した。 そして「札幌農学校」となった。この札幌農学校に、生命を吹き込 んだのは、いま一人のアメリカ人クラーク博士であった。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ 今回は、長野市地方卸売市場に入荷している果物について紹介し ます。入荷量が多いのは、リンゴ、モモ、ナシ、ブドウ、メロン、 スイカなどです。早生のリンゴ「つがる」が、市場へ出回りはじめ ました。 ウンシュウミカン(ハウスみかん)は愛知産です。 リンゴ(つがる)は長野産です。 ニホンナシ(幸水)は長野、茨城産です。 モモ(川中島白桃、など)は山梨、長野産です。 ネクタリン、スモモ(太陽、など)、プルーンは長野産です。 ブドウ(デラウェア、巨峰、など)は長野産です。 メロン(アールス、など)は茨城、静岡産です。 スイカは長野産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 編集部より  果物に含まれている糖分に対する誤解は根強いものがあります。 最近は、ご飯やパンにたいしても「太る」などの誤解が拡がり、低 炭水化物ダイエットが流行しています。こうした誤解を解くには、 果物だけで宣伝するのではなく、他の食材との連携が必要ではない でしょうか。今回紹介した論文が、その接点となるのではないかと 思っています。(tnk)  暦の上ではすでに秋になりました。先週末から少し涼しくなって きましたが、例年に比べ相変わらず暑い日が続いています。 先日まで熱戦が繰り広げられていた全国高校野球大会の開会式でも、 熱中症予防のため水分補給タイムが設けられました。水だけでは 電解質などが不足がちになるので、こんな場面こそ、果物を食べて 残暑を乗り切りたいですね。(HK) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2018.  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