毎日くだもの200グラムメールマガジン □■□ くだもの&健康ニュース Vol.132 ■□■ 2017年5月12日(金)配信 みなさん、こんにちは! 今号では、果物に含まれている糖分と糖尿病の関係を明らかにした 文献を紹介しています。この研究を行った著者らも糖尿病予防のた めに果物の摂取を勧めています。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ− >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:ウメ ・ 文献紹介:果物摂取で糖尿病と合併症のリスクが低下 ・ 文献紹介:世帯収入別の食品群別摂取量の特徴 ・ 文学の中の果物:押入れ随筆(吉川英治) ・ くだものいちば ・ くだもの豆知識:ココナッツの歴史 ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り    青梅をかきはじめなり菓物帖    − 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:ウメ  和のウメとイタリア、フランス料理 ○ 南高梅と若鮎の冷製そパス   イタリアンで定番の冷製パスタを素麺を使ってアレンジ!南高梅 の酸味と香り、若鮎のほろ苦さで、大人の素麺 材料(2人分)  南高梅(種抜き) 1粒、トマト(中) 1/2個、焼き鮎 2匹、半田 素麺 1束、酢 大さじ1杯、レモン汁 大さじ1杯、青葱、みょうが、 など。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/3900564 ○ 初夏の朝の爽やか梅ガレット  フランス郷土料理のガレットを、梅干しが橋渡しをして和風に仕 上げました。納豆と薬味が爽やかな初夏の朝を支えます 材料(2人分)  梅干し 3個、ひきわり納豆 1パック、そば粉 20g、全粒粉 20g、 卵 1個、水 100cc、ピザ用チーズ 60g、卵 2ko、シソ・茗荷・ス プラウト、など。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 https://cookpad.com/recipe/3881325 ────────────────────────────── ■ 文献紹介:果物摂取で糖尿病と合併症のリスクが低下  果物や野菜を含む食生活の健康上の利点は立証されているにも関 わらず、果物については糖度が高いことから、糖尿病やその血管合 併症のリスクについて、特にアジアで、誤解されています。  そこで、イギリス、オックスフォード大学の研究チームは、果物 (加工品を除く)と糖尿病との関係を検討した結果、果物を豊富に 摂る人は、糖尿病になりにくく、また糖尿病患者においては合併症 を起こしにくいことがわかったと、「プロス医学」に発表しました。  研究では、中国に住む約50万人の成人を対象に、糖尿病の新規発 症件数、糖尿病患者の血管疾患発症及び死亡数について約7年間追 跡調査を行いました。  その結果、果物の摂取量の多い人は、そうでない人と比べて、糖 尿病の発症リスクが低下することが分かりました。毎日果物を摂取 している人は、摂取していない人と比べて、糖尿病発症の絶対リス クが5年間で約0.2%低下していました。  また、糖尿病患者においては、果物の摂取量が多いと死亡リスク を下げました。毎日果物を摂取している人は、摂取していない人と 比べて、5年間の絶対リスクが1.9%低下しました。さらに、微小血 管と大血管の合併症リスクの低下にも関連が認められました。  以上の結果から、アジア人においても糖尿病に対する果物摂取の 有効性が明らかとなったと、著者らは本研究の価値を強調していま す。 【文献】 Du, H. et al.: Fresh fruit consumption in relation to incident diabetes and diabetic vascular complications: A 7-y prospective study of 0.5 million Chinese adults. PLoS Med., 14: e1002279. (2017) [doi: 10.1371/journal.pmed.1002279] ────────────────────────────── ■ 文献紹介:世帯収入別の食品群別摂取量の特徴     国立健康・栄養研究所の研究チームは、世帯収入が低いと、主食 は多く摂取しているが、果実、野菜、魚類の摂取は少ないと、「ア ジア・太平洋臨床栄養学雑誌」に発表しました。  研究では、食品群別摂取量と世帯収入との関連を調査しました。 対象者は、国民健康栄養調査(2011年度調査、2012年度調査)から5, 475世帯、計11,015人(20歳〜79歳、5,127人の男性と5,888人の女 性)を分析しました。  食事調査は、11月の1日間、無作為に抽出された300の調査地区 で実施しました。  世帯収入(年間)は、1.「低め」(200万円未満)、2.「中間」(2 00万以上600万円未満)、3.「高め」(600万円以上)の3つのカテ ゴリーに分類しました。  調査の結果、性、年齢、世帯員数、調査地区の市町村の人口規模 による調整モデルでは、総エネルギー摂取量が、世帯収入が「中 間」で最も高く、世帯収入が「低め」で、最も低いことが分かりま した。  次に、総エネルギー摂取量を調整したモデルで解析したところ、 世帯収入が「低め」および「中間」は、世帯収入が「高め」に比べ て、穀類の摂取量が有意に高いことが分かりました。  一方、いも及びでん粉類、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、魚 介類、牛乳、調味料、香辛料の摂取量は、「低め」、「中間」で有 意に低いことが分かりました。  以上の結果、世帯収入が「低め」の世帯では、主食は多く摂取し ていますが、果実、野菜、魚の摂取が少ないことが明かとなりまし た。 【文献】 Nishi, N. et al.: Characteristics of food group intake by household income in the National Health and Nutrition Survey, Japan. Asia Pac. J. Clin. Nutr.. 26: 156-159. (2017) [doi: 10.6133/apjcn.102015.15] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:押入れ随筆(吉川英治) 梅の味  みそと共に、もひとつ、若い人に縁のない食餌は、梅干だろう。 尾崎一雄氏が“風報”の誌上で、曾我村の梅干の自慢?を書いたこ とから、私たちの友人間でも、どうかすると、そんな枯淡な話が出 る。特に私は、梅の名所といわれる奥多摩の吉野村に十年も疎開生 活していたことがあるから、梅干にかぎらず、梅に関するものには、 自然郷愁めいたものを覚えるのだった。  先日も、さる会で、小林秀雄氏とそんな話題になったところ、小 林氏はある年、尾崎氏にさそわれて、小田原在の曾我村へ、梅見に 行ったことがあるよしで、『それは君、あそこの梅というものは、 花を見るだけでも、すばらしいよ』と言い、また、『何しろ、梅の 実を採るためだろうが、梅の木の根へ、ふんだんに、鰯の肥料を、 埋けてやるというんだからね、ぜいたくだよ』と、讃嘆していた。 それを聞いて、私は吉野村の梅をあわれに思った。  吉野村でも、梅の実を作るために、たくさんな梅が村中にあって、 花時には、多くのバスが花見客を乗せてもくるが、私の知るかぎり では、梅へ肥料などをやったのを見たことがない。もし、鰯があれ ば、梅の木へやるよりは、土地のお百姓がオカズにしてしまうだろ う。だから、花もさびしいし、実も曾我村の梅みたいに生らないに ちがいない。  人間にも、居る所の土壌と環境で、ずいぶん一生には損徳もある が、梅にもそんな宿命があるかと思った。けれど、吉野村の人々が、 自分たちの土壌を不幸だとは思っていないように、吉野村の梅には また、毅然として、独自な痩せ地の枝ぶりや香気を誇っているらし い風趣があった。 【著者】 吉川英治(よしかわ えいじ、1892年〜1962年)。神奈川県生まれ。 著書に、「鳴門秘帖」、「宮本武蔵」などがあり、幅広い層の読者 を獲得している。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、名古屋市中央卸売市場本場に入荷している果物について 紹介します。入荷量が多いのは、リンゴ、メロン、バナナ、パイナ ップル、キウイフルーツなどです。ビワやサクランボも入荷してい ます。 甘ナツミカンは愛媛産、 ネーブルオレンジ、レモン、グレープフルーツはアメリカ産です。 サクランボ(佐藤錦)は山形産です。 リンゴ(ふじ)は青森産です。 ビワは長崎、鹿児島産です。 ブドウ(デラウェア)は島根産です。 メロン(アールス、アンデス、クインシー、ハネジュ、など)は高 知、静岡、熊本、メキシコ産です スイカは熊本産です。 バナナ、パイナップルはフィリピン産です。 キウイフルーツはニュージーランド産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。ht tps://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ くだもの豆知識:ココナッツの歴史  ココナッツはもっとも古い食用植物の一つです。人類は、狩猟採 集の時代から殻を器や調理器具として利用してきました。  マレー諸島が原生地と考えられていますが、諸説があります。果 実は水に浮かびやすく、かつ耐水性のある殻で覆われているので簡 単に海洋を渡ることができます。そのため、早い時期に世界中の熱 帯地域に広がりました。タイやマレーシアでは、訓練されたサルを 使ってココナッツを収穫しています。  ヨーロッパにココナッツを紹介した最初の書物は、マルコ・ポ- ロの「東方見聞録」です。15世紀から16世紀にかけての大航海時代、 ポルトガル人などによってココナッツはヨーロッパに持ち帰られ、 広められました。  ココナッツは、食品としての利用だけでなく、クリームなどの化 粧品などにも使われています。 ココナッツの生産量が多いのはイ ンドネシア、フィリピン、インドなどです。 ────────────────────────────── ■ 編集部より  オックスフォード大学の研究から、糖尿病に対して果物摂取の有 効性が証明されました。また、収入と健康との関係は明らかとなっ ていましたが、その理由には諸説がありました。今回の国立健康・ 栄養研究所の研究から、収入が上がると、健康の維持・増進に大切 な果物、野菜、魚の摂取が増えることが分かりました。医療費削減 に向けて、こうした研究が役立つ者と期待しています。(tnk)  連休中は真夏を思わせる天候が続いており、果物売場も衣替えの時期 になりますね。私も布団や寝間着を夏物に替えたところ、風邪をひいて しまいました。国産の柑橘類もそろそろ食べおさめなので、デコポン等 を食べて風邪を治したいと思います。(KM) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 kudamononews@kudamono200.or.jp Copyright(C) 2011-2017.  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