毎日くだもの200グラムメールマガジン □■□ くだもの&健康ニュース Vol.116 ■□■ 2016年8月26日(金)配信 みなさん、こんにちは! 「果物、ご飯、麺類はNG」の低炭水化物ダイエットへの反響が大き いので、第二弾を掲載しました。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ− >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:リンゴ ・ 文献紹介:低炭水化物ダイエットの問題点−その2  −文献1:動物性タンパク質が多いと、死亡率が高い  −文献2:肥満の世界的蔓延の一因は肉食 ・ 文学の中の果物:寺田寅彦(和辻哲郎) ・ くだもの広場:博士が応える果物の不思議(缶詰モモ編) ・ くだものいちば ・ 新刊紹介 「科学的データでわかる 果物の新常識」 ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   澁紙の袋に入れし林檎かな    − 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:リンゴ ○ 残り・冷凍ごはんでOK!りんごリゾット  リンゴの優しい香りと、ニンニクやチーズがうまくマッチしてま す!アクセントのベーコンもたまらん!好みでアレンジ可能! 材料(2人前)  リンゴ 大1/4個、リンごジュース 200g、ごはん(冷凍でも残りで も) 二人分、薄切りベーコン 50g、スライスorとろけるチーズ 1〜2 枚(お好みで)、顆粒コンソメ 小さじ1杯、バター 8g、レモン果汁 (ポッカレモンでじゅうぶん) 大さじ1杯、パセリ 適量、など。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 http://cookpad.com/recipe/4006115 ○ リンゴのコンポートを使った春巻スイーツ  時短スイーツ。リンゴのコンポートを使ったスイーツです。外は パリパリ、中はもっちもち。簡単〜おいし〜 材料(2人分)  リンゴのコンポート 少々、バナナ 4分の1位、キウイフルーツ 4 分の1位、しゃぶしゃぶ餅 2枚、小豆缶 小さじ(2ml)2杯、春巻の 皮 2枚、など。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 http://cookpad.com/recipe/4022439 ────────────────────────────── ■ 文献紹介:低炭水化物ダイエットの問題点−その2  最近、ご飯やうどんなど麺類の完全非摂取だけでなく、果物やニ ンジン、ポテトサラダなどもすべてNGとして、極端に炭水化物の摂 取量を減らす一方で、肉などの摂取を勧めるとともに、調味料とし て食塩の使用を奨励するダイエット法が流行しているようです。こ の食事法は、低炭水化物ダイエットとして知られています。  一方で、適切な量(55%前後)の炭水化物を摂取する食事バラン スガイドや地中海式ダイエットで代表される脂肪の摂取量を減らし、 果物と野菜の摂取量を増やすダイエット(推奨炭水化物ダイエッ ト)があります。今号では、肉に含まれているタンパク質の過剰摂 取の問題点を指摘している論文を2編紹介します。 ◆文献1:動物性タンパク質が多いと、死亡率が高い  肉食を勧める理由に、動物性タンパク質の質が植物性タンパク質 より優れている点が上げられていますが、今回、その通説とは逆の 結果が報告されました。  アメリカ、マサチューセッツ総合病院とハーバード大学の研究 チームは、動物性タンパク質の量が多いと、死亡率が上昇し、植物 性タンパク質の割合が高いと死亡率が低下したと、「JAMA内科学」 に発表しました。  いままでに、タンパク質全体の摂取量に焦点を当てた研究はあり ましたが、タンパク質源としての食品については検討されてきませ んでした。そこで、タンパク質の摂取量だけでなく、タンパク質源 となる食品に注目し、長期的な健康との関連性について研究を行い ました。  研究は、アメリカの大規模な疫学研究(「看護師健康研究」、 「専門職フォローアップ研究」)に参加している17万人のデータを 用いて解析を行いました。追跡期間は、女性を対象とした「看護師 健康研究」では30年、男性を対象とした「専門職フォローアップ研 究」では26年です。2年毎の健康に関する調査票、4年毎の食事調査 が行われ、タンパク質をどんな食品からどれくらい摂取しているか を調査しました。  データを解析した結果、肉、卵、乳製品から動物性タンパク質を 多く摂取していると、総死亡率のリスクが8%増加しました。一方、 植物性タンパク質の摂取量が多いと総死亡率は10%低下しました。  さらに詳細な分析を行ったところ、動物性タンパク質の摂取で、 1 低体重、2 肥満、3 大量のアルコール摂取、4 喫煙、5 活動性が 低い(運動量が少ない)などの不健康な生活習慣が一つでもあると 死亡リスクが高まることが分かりました。しかし、不健康な要因が ない健康的な生活習慣の人では、リスクは高まりませんでした。ま た、リスクを高める動物性タンパク質は、ウシやブタの肉およびそ の加工品で、魚介類やトリ肉は含まれていませんでした。  この結果は、動物性タンパク質の摂取量が同じでも内容が違うと 健康に与える影響も異なることを示しています。また、不健康な生 活習慣の人の場合は、動物性タンパク質の摂取量が多いと死亡率が 高まることが認められました。  まとめると、動物性タンパク質よりも植物性タンパク質を多く食 べる方が健康に良く、動物性タンパク質を摂取する場合は、魚介や トリ肉を選択することが良いと述べています。今後、植物性と動物 性のタンパク質の違いや動物性タンパク質の中での異なった影響に ついて更なる研究が必要であるとしています。 【文献】 Song, M. et al.: Association of Animal and Plant Protein Intake With All-Cause and Cause-Specific Mortality. JAMA Intern. Med., Online Aug. 1, (2016.) [doi:10.1001/jamainternmed.2016.4182] ◆文献2:肥満の世界的蔓延の一因は肉食  オーストラリア、アデレード大学の研究チームは、肉の摂りすぎ は、砂糖(果物は含まない)の摂りすぎと同じレベルの警告が必要 になると、「BMC栄養」に発表しました。現代の食生活においては、 肉がエネルギー過剰の主因で、世界的な肥満の蔓延を招いていると しています。  この研究では、世界的な肥満の蔓延について、世界170か国の食 肉の供給量と肥満率の相関についての調査を行いました。  データの解析の結果、肉が砂糖と同程度に肥満に関与しているこ とが分かりました。言い換えると、肥満の原因の半分は、砂糖の供 給量で、もう半分は肉の供給量が原因でした。  国ごとのGDPやカロリー摂取量、都市化のレベル、運動不足とい った肥満の誘因を調整して再分析を行った結果も肥満への影響は、 肉も砂糖も、ともに13%で、重要な因子でした。  さらに、肉のタンパク質は、肥満と有意に関係していることも分 かりました。そのため、研究者は、「肥満の主要原因は脂肪と炭水 化物、特に脂肪だとする定説がありますが、現代の食事に含まれる 脂肪と炭水化物に由来するエネルギーは、十分に必要量を満たして います。肉のタンパク質は脂肪や炭水化物よりも後になってから消 化されるので、タンパク質由来のエネルギーは余分なものとなり、 体脂肪に変換されて蓄えられる」と、結論づけました。  また、今までの研究でも、肉の摂取が肥満に関係があるとする研 究例が複数ありますが、肥満のの原因は肉の脂肪にあるとしていま した。しかし、本研究から、肉のタンパク質が肥満の直接の原因で あることが分かりました。  研究者は、「私たちの発見は、論争の的になるかも知れない」と しつつも、「砂糖(果物を除く)を控えめに」というのと同じく 「肉を控えめに」とアドバイスすることが理にかなっていると結論 づけています。 【文献】 You, W. et al.: Meat consumption providing a surplus energy in modern diet contributes to obesity prevalence: an ecological analysis. BMC Nutr., 20162: 22. (2016) [DOI: 10.1186/s40795-016-0063-9] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:寺田寅彦(和辻哲郎) (昭和十一年)  寺田さんは有名な物理学者であるが、その研究の特徴は、日常身 辺にありふれた事柄、具体的現実として我々の周囲に手近に見られ るような事実の中に、本当に研究すべき問題を見出した点にあると いう。ところで日常身辺の事実が示しているのは単に物理学的現象 のみではなく、化学的・生理学的・動植物学的等の諸現象の複雑な 絡からみ合いである。  寺田さんはそういう現象のうちにも常に閑却(かんきゃく)され た重大な問題を見出していった。が更にいっそう具体的な日常の現 実は人間の現象である。ここでも寺田さんは人々があたり前として 看過している現象の中に数々の不思議を見出し熱心にそれを探究し ている。  寺田さんの探究心にとってはそのいずれが特に重大だという訳で はなかった。つまり寺田さんは自然現象、文化現象のいっさいにわ たる探究者であって、ただに物理学者であったのみではない。寺田 さんの健筆はこの探究の記録なのである。  周知の通り、林檎(りんご)が樹から落ちるのを不思議に感じて 問題としたことが、近代物理学への重大貢献となった。あたり前の 現象として人々が不思議がらない事柄のうちに不思議を見出すのが、 法則発見の第一歩なのである。寺田さんは最も日常的な事柄のうち に無限に多くの不思議を見出した。我々は寺田さんの随筆を読むこ とにより寺田さんの目をもって身辺を見廻すことができる。そのと き我々の世界は実に不思議に充ちた世界になる。  夏の夕暮れ、ややほの暗くなるころに、月見草や烏瓜(からすう り)の花がはらはらと花びらを開くのは、我々の見なれていること である。しかしそれがいかに不思議な現象であるかは気づかないで いる。寺田さんはそれをはっきりと教えてくれる。あるいは鳶(と び)が空を舞いながら餌を探している。我々はその鳶がどうして餌 を探し得るかを疑問としたことがない。寺田さんはそこにも問題の 在あり場所を教え、その解き方を暗示してくれる。そういう仕方で 目の錯覚、物忌(ものいみ)、嗜虐(しぎゃく)性、喫煙欲という ような事柄へも連れて行かれれば、また地図や映画や文芸などの深 い意味をも教えられる。我々はそれほどの不思議、それほどの意味 を持ったものに日常触れていながら、それを全然感得しないでいた のである。寺田さんはこの色盲、この不感症を療治してくれる。こ の療治を受けたものにとっては、日常身辺の世界が全然新しい光を もって輝き出すであろう。 ────────────────────────────── ■ くだもの広場:博士が応える果物の不思議(缶詰モモ編) リン太:やっぱり、モモは美味しいなあ。 ミカ:果汁のしたたる様な完熟したモモをがぶりと食べるのもいいけど、    私は缶詰やカップゼリーのモモも美味しくて、好きだわ。 博士:缶詰のモモの話なら、今から75年ほど前の昭和15年頃には、モモ    の缶詰が日本からの輸出品の大きな柱となっていたんだよ。 リン太:今はモモの缶詰は外国産のモモがほとんどなのに、そんな時も    あったんだ。 ミカ:ところで、缶詰用のモモと普通に食べるモモとは違うの? 博士:缶詰用のモモは、”ゴム質モモ”とも呼ばれ、完熟しても軟らかく    ならないんだよ。その上、酸味も強いんだ。だから、缶詰に適し    ているモモと言えるんだね。 ミカ・リン太:なるほど。 博士:他にも違うところは、缶詰用のモモでは、種が割れたり、種が実    から離れやすいものはダメなんだよ。 ミカ:種と実が離れやすい方が、缶詰モモを作る作業がしやすいと思う    のだけど、違うのかしら? 博士:実が離れやすいモモは外れた痕が褐変したりして見苦しいので、    種取機械を使って種を取り除くと綺麗な缶詰ができるのだって。 ミカ・リン太:そんな変わった品種もあるんだね。 博士:缶詰モモと似た様な性質のモモに、硬質モモと呼ばれる、パリパリ    としたモモもあるんだよ。このモモは、真夏の部屋の中に1週間程    置いても、軟らかくならないので、まるで作り物のモモの様で、お    盆のお供えにはぴったりのモモだよ。名前は「おどろき」って言う    んだ。 ミカ・リン太:硬くても食べられるんだよね。面白いね。まさに”驚き”。 ミカ:ところで、缶詰のモモは黄色いモモが多いけど、普通に食べるモモ    には黄色いモモって、ほとんどないね。 博士:黄肉のモモは缶詰用で酸味が多く硬いという印象が強いので、普    通に食べるモモの育種にあまり取り入れられなかったんだ。しか    し、近頃消費者の好みが様々になってきたので、普通に食べるモ    モにも黄肉品種ができてきたよ。「つきあかり」とか「つきかが    み」という名前のモモなんだが、結構美味しいよ。 ミカ・リン太:いい名前だね。お月見にも良いかもね。食べてみたいな。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、沖縄県中央卸売市場に入荷している果物について紹介し ます。入荷量が多いのは、スイカ、パイナップル、バナナ、モモな どです。 ウンシュウミカンは福岡、沖縄産です。 ネーブルオレンジはオーストラリア産、バレンシアオレンジはアメ リカ産、グレープフルーツは南アフリカ産です。 ニホンナシ(幸水、など)は千葉産などです。 モモは長野産、ネクタリンは山梨産です。 ブドウ(デラウェア、巨峰、など)は福岡産です。 スイカは沖縄産です。 メロン(ハネジュ、など)はアメリカ産などです。 バナナはフィリピン産です。 パイナップルはフィリピン、沖縄産です。 キウイフルーツはニュージーランド産です。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 新刊紹介 「科学的データでわかる 果物の新常識」  2016年8月2日発売 誠文堂新光社 定価:税込 1,994円 http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=5064  本メルマガでも、毎号、果物の持つ健康機能性などについて紹介し てきているところですが、今なお、”果物を食べると太る”などとい った果物への多くの誤解が聞かれるところです。  本書は、果物を毎日200g以上摂取することで生活習慣病のリスクを さげることができるなど、果物の機能を具体的に紹介し、科学的に 健康効果がわかる本となっていますので、是非ご覧になってください。 ────────────────────────────── ■ 編集部より  オリンピックが終わりました。インターネットで各国の選手の食 事メニューを見ていると果物の摂取量が大変多いことが分かります。 前号で反響の大きかった「低炭水化物ダイエット」について、今号 でも問題点を指摘している文献を紹介しています。(tnk)  北海道を中心に大雨の被害が発生しており、今後の夏果実の出回り や秋の果物の作柄なども心配されるところです。  また、今年は台風の発生が少ない(6月まではゼロ)と思っていたら、 7月、8月は立て続けに発生していますので、秋に向けて果物の生産に大 きな影響が出ないよう祈るばかりです。(KM) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 Copyright(C) 2011-2016.  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