毎日くだもの200グラムメールマガジン □■□ くだもの&健康ニュース Vol.110 ■□■ 2016年5月27日(金)配信 みなさん、こんにちは! 今号では、バナナに壊滅的な被害を与えている新パナマ病について 紹介しています。 ───────────────────────────── 毎日くだもの200グラム以上食べましょう! 公式ホームページは下記です。 http://www.kudamono200.or.jp ────────────────────────────── <<< 本日のメニュ− >>> ・ 季節の便り ・ くだものレシピ:ビワ ・ くだもの広場:働き盛り世代の果物消費(その5) ・ 文献紹介:希釈したリンゴジュースで子供達の脱水症予防 ・ 文学の中の果物:蟹の怪(田中貢太郎) ・ くだものいちば ・ 新パナマ病でバナナが危機的状況に ・ くだもの豆知識:ザクロは世界で最初に栽培化された果樹の一つ ・ 編集部より ────────────────────────────── ■ 季節の便り   枇杷の實の僅に青き氷柱哉    − 正岡子規 ────────────────────────────── ■ くだものレシピ:ビワ ○ ロウクワット・ポーク  ビワと豚肉を使った簡単煮込み。砂糖を使わず果物の酸と甘みだ けで作る柔らかくほんのり甘酸っぱいタラゴン風味の一品です。 材料(2人分)  ビワ 6個、豚肉(モモ角切り) 200g、塩 小さじ2杯+小さじ2杯、 梅酒 200cc、レモン汁 大さじ1杯、タラゴン(乾) 小さじ2杯 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 http://cookpad.com/recipe/835254 ○ 味醂粕(みりんかす)と枇杷のビスケット  ご近所よりビワを頂いたので 材料  ビワ 適量、味醂粕(みりんかす) 1kg、砂糖 ビワと同量、塩 一つまみ。 作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。 http://cookpad.com/recipe/3253640 ────────────────────────────── ■ くだもの広場:働き盛り世代の果物消費(その5)  果物の消費量が少ない働き盛り世代(20〜40歳台)を対象にした アンケート調査を中央果実協会が実施しました。調査結果について ミカさん、リン太君と一緒に見てゆきましょう。 おじさん:今回は、働き盛り世代の食生活改善意識や今後の果物の   摂取意向などについて勉強しようね。 ミカ、リン:そもそも、外で働いている人は食生活バランスが崩れ   がちだから、食生活改善を意識しているはずよね。 おじさん:自分の食生活を改善しようと思っているかどうかを尋ね   たところ、専業主婦(夫)では75%が改善しようと思っており、   内勤職、営業職の順にその割合が下がり、現場・工場職は最も   低く63%となっているね。 ミカ:それって、専業主婦(夫)のほうが食生活改善が必要な不健   康な状態にあるっていうこと? おじさん:そうではなくて、自分の食生活に対する関心度合の差が   らわれていると思うね。外で仕事をしている人は自身の食生活   バランスに気が回り難いとは思うけど、6割以上の人が改善の必   要を感じているというのは結構高いように思うね。    ただ、改善しようと思っても実際に改善した人は職業別に大   きな差は無く、2割程度にとどまっている状況なんだ。 リン:皆さん改善しようという意識はあるんだけど、行動に移せて   いなってことだね。 おじかん:過去に協会が調査した「果物に対するイメージ」(平成   20年2月)では、果物は「健康に良い」(全体の94%)、「ビ   タミン補給に適している」(同96%)、「食物繊維の補給に適   している」(同79%)など、果物が健康に良いことは「知識」   としては持っているんだ。    でも、今回の調査で今後の果物の摂取意向について尋ねたと   ころ、専業主婦(夫)では「増やしたい」が61%となっている   けど、外で仕事をしている人は少なく、現場・工場職では「増   やしたい」が34%にとどまっているね。また、果物を食べてい   ない人(月1日未満)に限ってみれば、「増やしたい」とする   人は3割弱で約7割が「特に変えようとは思わない」と回答し   ており、職業別にも大きな違いがみられない状況だね。 ミカ、リン:果物を食べている人は「増やしたい」と思い、食べて   ない人は「現状のまま、食べない」ってことね。 おじさん:皆さん、自分の食生活改善が必要とは感じており、食品   についての「知識」も持ってはいるものの、日常的な意識や摂   取行動にはつながっていないようだね。果物も日常の食生活の   中で必ずしも身近な存在とはなっていないようにも思われるね。 ミカ:そうね、野菜不足は感じるけど、果物不足を感じる人は少な   いようね。私なんか、季節や旬を感じて果物を食べたくなるけ   ねえ。 おじさん:じゃあ、次回はミカさんやリン太君のような「果物好き」   について勉強しようね。  ────────────────────────────── ■ 文献紹介:希釈したリンゴジュースで子供達の脱水症予防  カナダ・カルガリー大学の研究チームは、軽度の胃腸炎と軽度の 脱水症状がある子供は、水分補給のために、倍に希釈したりんごジ ュースを与えると、リンゴ風味の電解質維持飲料を与えるよりも、 点滴による水分補給や入院などの治療に至ることが少なくなると、 「アメリカ医学会誌(JAMA)」に発表しました。  胃腸炎は、一般的な小児の疾病です。電解質維持飲料は、脱水症 状の治療や予防のために推奨されていますが、比較的高価であり、 味もよくありません。そのうえ、軽度の脱水症状がある子供に対し て効果があるかどうかは確認されていません。  研究では、胃腸炎と軽度の脱水のある子供達を、色を同じにした 倍に希釈したリンゴジュース群(323人)、あるいは、リンゴ風味の 電解質維持飲料( 324人)群に、無作為に割り当てました。  参加した子供たちの年齢は、6〜60ヶ月でした。下痢がはじまっ た後、倍に希釈したリンゴジュース群では、好きなだけ飲み物を与 えました。電解質維持飲料群では、失われた水分を電解質維持飲料 で補給しました。  この臨床研究では、患者として登録後7日以内に、以下のいずれ かの事象が生じた場合「治療の失敗」と判定しました。その事象と は、点滴による水分補給、入院、後に予定外に医師の診察を受ける こと、長引く症状、重症化、3%以上の体重減少または大幅な脱水と しました。  無作為に割り当てた子供(平均年齢28ヶ月、脱水症状がない子供6 8%)644人に対して追跡調査が完了しました。倍に希釈したリンゴジ ュースを与えた子供は、電解質維持飲料を与えられた子供よりも、 統計的に有意に「治療の失敗」に至るケースが少ないことが分かり ました(17%対25%)。  具体的な事象を紹介します。倍に希釈したリンゴジュースを与え た子供たちの方が、点滴による水分補給を受ける割合が、統計的に 有意に少ないことが認められました(2.5%対9%)。一方、入院率、下 痢、嘔吐の頻度は、群間で有意差はありませんでした。  以上の結果を基に、研究者らは、「この調査結果は、比較的大規 模かつ多様な集団からのものであり、かつ、別の研究でも確認され ています。そのため、下痢がはじまる時に、倍に希釈したリンゴジ ュースの投与は、投与が推奨されている電解質維持飲料に代えるこ とが出来る」と述べています。そして、子供達の好きな倍に希釈し たリンゴジュースを適切に与えることが、軽度の胃腸炎や軽度の脱 水がある子供に対して有効な方法ではないか」と研究者らは結論づ けています。 【文献】 Freedman, SB et al.: Effect of Dilute Apple Juice and Preferred Fluids vs Electrolyte Maintenance Solution on Treatment Failure Among Children With Mild Gastroenteritis. - A Randomized Clinical Trial. JAMA, 315: 1966-1974. (2016) [doi: 10.1001/jama.2016.5352] ────────────────────────────── ■ 文学の中の果物:蟹の怪(田中貢太郎)  お種は土間へおりて手拭竿から手拭を執り、糠袋を持って表へ出 た。月が出て外は明るかった。お種は門口の二三段の石段をおりて 家の下の道を右の方へ往った。道の右側は並んだ人家の下の低い崖 で、左側は勾配の緩い畑地であったが、其処には熟した麦があり蜀 黍(もろこし)があり、麻があり柿の木があった。  お種の往った家は半丁ばかり離れていた。其処は家の前に蜜柑や 枇杷を植えてあった。お種はその果樹園の中を通って往き、裏の馬 小屋と雪隠(せっちん)の境にたてた五右衛門風呂の口で、前(さ き)に来ている三人ばかりの人の順じゅんに入るのを待っていた。 「今度はお種さんの番じゃ、はよう入るがいい、良い人が何処ぞで 待ちよる」  お種の後から来ている老人がからかいながら云った。すると風呂 桶から出ようとしている婦(おんな)が云った。 「お種さんのような女(むすめ)を待たいで、何人(だれ)を待つ もんか、お種さんはよう来い」  お種はそこで湯に入って帰りかけた。霧がかかって月の光がぼん やりしていた。門口の果樹園まで帰ったところで、其処の暗い処か らひょいと出て来た者があった。 ────────────────────────────── ■ くだものいちば  今回は、大阪市中央卸売市場東部市場に入荷している果物につい て紹介します。入荷量が多いのは、リンゴ、スイカ、メロンなどで す。サクランボ、モモ、ブドウの入荷も始まりました。 リンゴ(ジョナゴールド、ふじ、王林)は青森産です。 モモ(日川白鳳、など)は長崎産です。 サクランボ(佐藤錦)は山梨、山形産です。 ブドウ(デラウェア、巨峰、など)は山梨、長野産などです。 イチゴ(ゆめのか、など)は長崎、熊本産です。 メロン(アールス、など)は高知、熊本産などです。 スイカ(ひとり、祭ばやし、など)は熊本、長崎、和歌山産などです。 「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。 https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do ────────────────────────────── ■ 新パナマ病でバナナが危機的状況に  バナナを枯らす極めて有害な病気「新パナマ病」が世界的に猛威 を振るっています。国連食糧農業機関(FAO)は、アジア太平洋地 域における360億ドル規模のバナナ産業と、貴重な食糧資源が脅か されていると警告しています。  新パナマ病とは、フザリウムというカビの一種で、トロピカル・ レース4(TR4)」型パナマ病のことです。この土壌菌が急速に拡 散し、アジアからオーストラリアの一部、アフリカ、中東へと広が っています。特に我が国や欧米で消費されているバナナ「キャベン ディッシュ」が甚大な被害を受けています。  FAOは、新パナマ病について、世界で最も破壊的なバナナの病気 の一つと指摘しています。この病気に対抗するために行動する必要 があると勧告しています。  かってパナマ病は、1960年代に最も人気があったバナナ「グロス ミシェル」を壊滅させました。その時、パナマ病に強いとされ、世 界に広がったのが、「キャベンディッシュ」です。しかし新パナマ 病は、この「キャベンディッシュ」を枯らしています。  そのため、「キャベンディッシュ」に代わる新種のバナナの開発 が進められています。新パナマ病に強い種なしバナナの開発には、 種からバナナを育てる必要があります。種なしバナナと種ありバナ ナを交配した場合、種ができるのは100万本にたった3粒に過ぎない ので、大変難しい作業が続いています。 ────────────────────────────── ■ くだもの豆知識:ザクロは世界で最初に栽培化された果樹の一つ  ザクロの原生地は、イランからインド西北部と考えられています。 歴史の古い果物で、オリーブ、イチジク、ナツメヤシやブドウとと もに、約5000年~6000年以上前に栽培化された最初の果樹の一つで す。古代フランス語に由来するザクロの名称ポム・グレネードは、 「グラナダのリンゴ」を意味しています。また、果実は、古代ギリ シャ神話や聖書など数多く物語に登場しています。  果実には、果汁が豊富な数百個の宝石のような小さな粒が含まれ ています。果肉と種子は、どちらも食用になります。また、果皮が 丈夫なため、砂漠地域を行き交う人々は、一種の天然水筒としてザ クロを携帯していました。このように果実は、簡単に運べたためザ クロが生育できなかった地域においても早い頃から広く知られてい ました。今では、ヨーロッパやアジアの乾燥した亜熱帯地域全域、 北アメリカの温暖な地域(カリフォルニア)からチリに至るまで栽 培されています。  ザクロのジュースは、人気があります。また、ザクロジュースか ら作られたシロップは、乳飲料、デザート、ソーダ、レモネードや カクテルを香りづけするために世界的に使用されています。種子は、 肉を柔らかくするために利用したり、チャツネをつくるときに使わ れています。 ────────────────────────────── ■ 編集部より  フィリピンなどでの新パナマ病の蔓延は、日本の食卓に並ぶバナ ナに大きな影響を与えるのではないかと心配されています。現在、 新パナマ病に強い「FHIA-25」が育成されていますが、味がまだま だなので、実用化の道は遠いようです。(tnk)  ここ数日、各地で真夏日を記録したとのニュースが報じられてお りますが、湿度が低いこともあって真夏の暑さは感じないですね。 むしろ、夏の代表的な果物のスイカがスーパーの店頭で盛況となっ ている様子は、まさに夏到来を感じます。赤いスイカは抗酸化物質 のリコペンを多く含む食品でもありますので、旬を感じつつ沢山食 べたいですね。(KM) ────────────────────────────── ◆発 行◆ 公益財団法人中央果実協会 Copyright(C) 2011-2016.  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